2025年5月8日
坂高麗左衛門の作品を買取り致します。 北岡技芳堂の骨董品買取りブログ
坂高麗左衛門の陶芸作品の買取は、高額査定の北岡技芳堂へ
御所蔵の坂高麗左衛門の作品を、他社よりも高くご評価いたします。
買取査定のポイントや相場情報をぜひご確認ください。簡単LINE査定も随時受付中です。
先代から受け継がれた坂高麗左衛門のコレクションや、蒐集されたお品、譲り受けた作品など、どのような背景のものでも丁寧に鑑定・買取いたします。
遺品整理・生前整理・コレクション整理・お引越し・リフォームなど、坂高麗左衛門のご作品のご売却をご検討の方は、ぜひ北岡技芳堂まで。誠意をもって、高価査定に努めさせていただきます。
萩焼の開祖、初代 坂高麗左衛門〔李敬〕作 古萩粉引茶碗
坂高麗左衛門の作品の魅力
1. 萩焼ならではの「七化け(ななばけ)」
使い込むほどに風合いが変わる「萩の七化け」は、坂家の大きな魅力の一つ。茶人にとって理想の茶碗とされています。
2. 粉引や長石釉のやわらかな景色
乳白色や淡桃色を見せる釉調は、素朴さと深い趣を併せ持ち、坂家の萩焼ならではの特徴です。
3. 茶道との深いつながり
「わび」の精神を体現する器として、千家各流派をはじめ、茶の湯の世界で長年にわたり高く評価され続けています。
坂高麗左衛門 歴代略歴(抜粋)
初代坂高麗左衛門〔李敬〕(1568年–1643年)を祖とし、毛利輝元に招かれ萩に定住。以後、坂家は萩焼の本流として御用窯を担いました。
大正期には九代と十代の当主が連なり、明治〜昭和にかけて精力的な作陶を行います。
十代坂高麗左衛門(本名:秀輔、号:韓峯)
1914年~1947年の間、宮内省による買上げや奉祝品制作、博覧会出品など、華やかな活動歴を持ちます。
十一代坂高麗左衛門(本名:信夫、号:韓峯)
帝国美術学校卒業後、義父十代に師事し襲名。文化財認定や工芸会会員など多くの実績を重ねました。
十二代坂高麗左衛門(本名:達雄、号:熊峰)
東京芸術大学大学院修了後、萩焼に新風を吹き込みました。2004年、事故により急逝。
十三代坂高麗左衛門(本名:純子)
2011年襲名、女性として初めて坂家の名跡を継ぎ、2014年に逝去。
十四代坂高麗左衛門(坂悠太)
2022年襲名。現代において坂家の伝統を受け継ぐ陶芸家として活躍中です。
十四世 坂 高麗左衛門 萩茶碗
十四世 坂高麗左衛門は、坂高麗左衛門窯を継承する陶芸家で、坂家伝統の古格を受け継いだ作品を制作しています。
茶人たちによる評価と信頼
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侘び寂びを体現する器
釉薬の貫入や素朴な風合いは、茶道における理想の姿として古くから重用されてきました。 -
千家各流派からの支持
裏千家・表千家・武者小路千家を中心に、茶会での使用記録が多数残り、その格式は折り紙付きです。 -
大名茶人・数寄者にも愛された逸品
細川三斎、上田宗箇、片桐石州らの茶会道具としても重宝され、献上品・拝領品として用いられました。 -
近代茶人からの高い評価
現代でも千宗室氏らによって高く評価され、茶会・展示会などで活躍しています。
査定価格のポイント
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作品の種類:茶碗が最も評価され、6万〜15万円程度が目安。
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保存状態:器や共箱の状態により査定額は上下します。
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作品の出来:展示会掲載品や茶道具は評価が高くなります。
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制作年代:初期作・晩年作が高額になる傾向があります。
※同じ坂高麗左衛門の作品でも、状態・作行き・背景によって価格は大きく異なります。
北岡技芳堂が選ばれる理由
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コスト削減による高額査定
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創業昭和25年、秘密厳守の信頼
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オークションデータに基づく適正評価
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即日出張可能な対応力
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店主による直接査定
よくあるご質問(Q&A)
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Q:一点からでも買取できますか?
A:可能です。内容により出張の可否が変わりますのでご相談ください。 -
Q:真贋がわかりませんが…?
A:当店で確認いたします。まずは画像をお送りいただいても構いません。 -
Q:他の陶器や骨董もありますが?
A:幅広いジャンルの美術品を買取しております。ご安心ください。 -
Q:箱が無いのですが…?
A:共箱なしでも買取可能ですが、評価額に影響します。 -
Q:画像査定は可能ですか?
A:可能ですが、簡易査定となります。詳細な評価には実物拝見が必要です。
最後に:坂家の作品をお持ちの方へ
萩焼の真髄を宿す名家・坂高麗左衛門。
その作品は、単なる骨董ではなく、日本の精神文化を伝える貴重な財です。
北岡技芳堂では、長年の経験と誠実な目利きで、坂家の逸品を大切に評価・買取いたします。
まずはご相談ください。
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弊店は販売をする店舗だからこそあらゆる骨董品が高価買取を可能にします。
美術品の売却をご検討なさっているお客様や、ご実家のお片付けや相続などでご整理をされているお客様のご相談を賜ります。
どうしたら良いか分からなかったり、ご売却を迷われている方がが多いと思いますが、どのようなことでも北岡技芳堂にお任せください。
裁判所にも有効な書類を作成させていただく事も出来ます。
北岡技芳堂では骨董品の他にも、絵画や貴金属、宝石、趣味のコレクションなど様々なジャンルのものを買受しております。
出張買取も行っております。愛知県、三重県、岐阜県、静岡県その他の県へも出張させていただきます。
まずは、お電話にてお気軽にお問い合わせくださいませ。
骨董品の買取【北岡技芳堂 名古屋店】
愛知県名古屋市中区門前町2-10
電話052(251)5515
営業10:00-18:00
2025年5月8日
黄君壁(こうくんぺき) の作品を買取り致します。 北岡技芳堂の掛軸買取りブログ
御所蔵の中国人作家 黄君壁の作品の買取価格を知りたい方は、高額査定の北岡技芳堂にお任せください。
黄君壁(こうくんぺき) の作品を他社よりも高い買取価格で査定しています。 買取査定のポイント、黄君壁の作品の買取情報をご確認ください。 簡単LINE査定も随時受付しております。
黄君壁の掛軸をお持ちでしたら、ぜひ北岡技芳堂にご相談ください。 先代様の黄君壁のコレクションやご自身が蒐集されました作品、または譲り受けた黄君壁の作品を鑑定して買取りいたします。
美術品の遺品整理、生前整理、コレクションの整理、お引越し、リフォーム、お片付けなどでご所蔵の黄君壁の作品を適正評価でご売却したい方、ぜひ当店にご相談下さい。 誠意を持ってご要望に沿うよう、高価買取をさせていただきます。
黄君壁/Huang Junbi 水墨画
黄君壁/Huang Junbiは、20世紀の中国を代表する画家の一人であり、特に山水画の分野で高い評価を受けています。黄君壁の作品は、伝統的な中国画の技法を基盤としながらも、近代的な感性を取り入れた独自のスタイルが特徴です。そのため、国内外の美術市場においても高い人気を誇ります。
黄君壁の山水画は、繊細な筆致と豊かな色彩で知られ、自然の風景を詩的に描写することで多くの鑑賞者を魅了してきました。彼の作品には、伝統的な構図や技法に加え、近代的な視点や表現が融合されており、それが彼の作品の独自性を生み出しています。
黄君壁の買取でよくある質問
Q.1点でも買取りしていただけますか?
A.1点でも買取り可能ですが、品物により出張買取が難しい場合もありますので、一度ご相談ください。
Q.本物か偽物か分かりませんが買取りしていただけますか?
A.黄君壁の作品は、当店が真贋を拝見させていただき判断させていただきますので、一度お問い合わせ下さい。ラインやメールで先ずは画像をお送りいただく方法もございます。
Q.黄君壁の作品以外にも陶器などがあり運べませんので出張買取りしていただけますか?
A.もちろん出張鑑定いたします。お値段が合いましたら、買取りもさせていただきます。
Q.箱や箱書きが無いのですが買取りしてもらえますか?
A.共箱が無くても買取りは可能ですが、査定額は低くなってしまう可能性がございます。
Q.黄君壁の作品は画像で査定していただけますか?
A.画像で判断できる品もありますが、簡易査定となります。画像査定が難しい場合は、実際に作品を拝見させていただきます。
Q.黄君壁の作品ではありませんが買取りしていただけますか?
A.書の作品でなくても、骨董品など様々な物が買取り対象となります。
黄君壁の買取で当社が選ばれる理由
1.当社は人件費や運営のコストを削減しておりますので、その分高価買取が可能になります。
2.創業昭和25年より、秘密厳守にて買取させ頂いております。
3.黄君壁の作品のオークションデータに基づいて適正価格で買取りさせて頂きます。
4.都合があえば即日でも出張買取に伺わせていただきます。
5.従業員ではなく、店主自らが鑑定に伺わせていただきます。
黄君壁 査定価格におけるポイント
黄君壁の作品は同じ様な作品であっても、査定額は大きく異なってきます。
幾つか要素を挙げますのでご参考にして下さい。
作品の種類
黄君壁先生の作品は、水墨山水画の作品に高値の査定価格がつきます。
10万円から30万円ぐらいの買取相場です。
保存状態
シミや痛み、汚れているのも査定価格が下がります。
作品の出来・不出来
黄君壁の作品は、彩色があると作品が評価されます。
軸装の仕立てが良いと評価されます。共箱や箱書きにより値段が変わります。
黄君壁展などの展示会での画集掲載作品であると高い評価が出来ます。
制作年代
黄君壁の作品は、風景画に人気があります。
※このように同じ黄君壁の作品でも、様々な要素により査定額は異なります。 また、相場(業者間での流通価格)も変動します。
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弊店は販売をする店舗だからこそあらゆる骨董品が高価買取を可能にします。
美術品の売却をご検討なさっているお客様や、ご実家のお片付けや相続などでご整理をされているお客様のご相談を賜ります。
どうしたら良いか分からなかったり、ご売却を迷われている方がが多いと思いますが、どのようなことでも北岡技芳堂にお任せください。
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北岡技芳堂では骨董品の他にも、絵画や貴金属、宝石、趣味のコレクションなど様々なジャンルのものを買受しております。
出張買取も行っております。愛知県、三重県、岐阜県、静岡県その他の県へも出張させていただきます。
まずは、お電話にてお気軽にお問い合わせくださいませ。
骨董品の買取【北岡技芳堂 名古屋店】
愛知県名古屋市中区門前町2-10
電話052(251)5515
営業10:00-18:00
2025年5月7日
日本刀の歴史がわかる!起源から現代に至るまで、時代ごとに解説 日本刀コラム9
日本刀は、日本の伝統的な刀剣類として、古くから独自の発展を遂げてきました。また、日本刀は国内だけでなく国外からの人気も高く、世界的にその価値が認められています。
古刀 新刀 新新刀 現代刀
そこで、今回のコラムは日本刀の歴史について、時代の変遷とともにご紹介いたします。日本刀の魅力を知ることで、あなたもきっとその魅力に引き込まれることでしょう。
日本刀白鞘
日本刀の起源
日本刀のルーツは、古墳時代(およそ3世紀〜6世紀)にまでさかのぼることができます。この時期、朝鮮半島から伝えられた鉄器製作技術や製鉄の知識が日本列島に普及し、それを契機として刀剣の製作が始まりました。
当初の刀剣は「直刀(ちょくとう)」と呼ばれ、反りのない直線的な形状が特徴で、中国や朝鮮半島の影響が色濃く見られます。これらは主に儀式用や装飾品として扱われ、実戦用途ではなかったと考えられています。
この時代に作られた刀剣は、一般に「上古刀(じょうことう)」と称されています。
日本刀の形成と歴史的展開
平安時代
794年から始まる平安時代になると、武士階級の興隆により、実戦での使用を目的とした刀剣の需要が高まります。特に馬に乗って戦う戦法が主流だったため、刀身に反りを持たせ、抜きやすく斬りやすい構造が求められました。
こうして誕生したのが「太刀(たち)」です。刀身の長さは概ね80cm前後に及び、従来の直刀とは異なる、湾曲した美しい形状が完成されました。これにより、日本刀特有の形がこの時代に確立されたのです。
平安時代から文禄年間(1595年頃)までに製作されたものは、「古刀(ことう)」と呼ばれます。
鎌倉時代
鎌倉時代(1185〜1333年)は、日本刀の品質や技術が飛躍的に進歩した時代です。武士が政権を握る中で、実用性と美を兼ね備えた刀が求められました。
この時期に作られた刀は「鎌倉刀」とも称され、切れ味、強度、造形の美しさいずれも高水準に達しました。末期には、より大きく華やかな外見をもつ「大太刀(おおたち)」も登場します。これは長さが通常の太刀よりも50〜60cm長く、装飾的な要素も強かったと言われています。
室町時代
室町時代になると、大太刀のような長大な刀は次第に姿を消していきます。その一方で、武器の需要が急増し、日本刀は大量生産の時代に入りました。結果として、より多くの武士や農民が刀を手にするようになり、戦闘様式も徒歩での集団戦に変化しました。
こうした背景の中で登場したのが「打刀(うちがたな)」です。反りが浅く、扱いやすい60cm前後の刃長が特徴で、腰に差して抜きやすい点も重宝されました。この形式の刀は、現代人が「日本刀」と聞いて思い浮かべる典型的なスタイルです。
江戸時代前期~中期
戦国時代が終わりを告げ、江戸時代に入ると、長い平和の時代が訪れました。戦がなくなったことで、日本刀は装飾品としての側面を強め、華やかな意匠の刀が多く生まれました。
また、日常的に帯びるための短めの刀として「脇差」や「短刀」が盛んに作られるようになります。これらは戦闘用というよりも、礼装や護身用として位置付けられていました。
この時代に作られた刀は「新刀(しんとう)」と呼ばれています。
江戸時代後期
幕末の動乱期に入ると、黒船来航や攘夷思想の高まりを背景に、再び日本刀への関心が強まりました。治安が不安定になったことで、刀剣の需要が再燃し、製作が盛んに行われます。
この時代の作品は「新々刀(しんしんとう)」と称され、実用を意識した構造とともに、時代の動乱を反映したものが多く見られます。
明治時代
明治維新以後、西洋化の進行とともに日本刀の立ち位置は大きく変化しました。1876年には「廃刀令」が出され、一般人が刀を所持することが禁じられ、軍人や警察などの一部のみが帯刀を許される時代へと移行します。
以降に製作された刀剣類は、儀礼刀や軍刀が中心となり、「現代刀」として分類されています。
昭和以降
昭和時代に入り、特に第二次世界大戦の影響により、多くの刀剣が回収・処分される運命をたどりました。しかし、戦後は文化財保護法の施行により、日本刀の文化的価値が再評価され、国や自治体によって保存が進められるようになります。
重要文化財として指定された刀は、専門家の手で丁重に管理され、後世へと受け継がれています。
現在における日本刀の存在
今日では、多くの歴史的価値をもつ日本刀が、美術館や博物館で公開されており、一般市民もその芸術的魅力に触れることができます。
主な所蔵施設と展示刀剣
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東京国立博物館(東京都)
展示刀:相州貞宗、福岡一文字良房、三条宗近、大包平 -
刀剣博物館(東京都)
展示刀:太刀 銘 国行、太刀 銘 延吉 -
京都国立博物館(京都府)
展示刀:銘 則国、陸奥守吉行、埋忠明寿 作
総括
日本刀は古墳時代にその原型をもち、平安時代に完成された湾刀としての形状を確立して以来、各時代の背景や武士社会の変化とともに進化を続けてきました。現代においても、それは単なる武器ではなく、日本の文化と美意識の象徴として受け継がれています。
興味を持たれた方は、ぜひ博物館などで実物をご覧いただき、その刀が持つ物語や職人の技術に心を傾けてみてください。
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弊店は販売をする店舗だからこそあらゆる骨董品が高価買取を可能にします。
美術品の売却をご検討なさっているお客様や、ご実家のお片付けや相続などでご整理をされているお客様のご相談を賜ります。
どうしたら良いか分からなかったり、ご売却を迷われている方がが多いと思いますが、どのようなことでも北岡技芳堂にお任せください。
裁判所にも有効な書類を作成させていただく事も出来ます。
北岡技芳堂では骨董品の他にも、絵画や貴金属、宝石、趣味のコレクションなど様々なジャンルのものを買受しております。
出張買取も行っております。愛知県、三重県、岐阜県、静岡県その他の県へも出張させていただきます。
まずは、お電話にてお気軽にお問い合わせくださいませ。
骨董品の買取【北岡技芳堂 名古屋店】
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2025年5月7日
茶道具の値段 調べ方と最新の価値を詳しく説明 茶道具買取コラム7
茶道具を売り買いしたいと考えている方は、まず茶道具の値段を調べてみましょう。
茶道具の値段を把握するためには、いくつかの方法が考えられますので、説明させて頂きます。
茶室 茶道具を買取ます。
茶道具相場の基本を理解するために
茶道具の価値は、その種類や保存状態、作家の名声、製作年代などによって大きく左右されます。なかでも、高名な作家が制作した作品や、特定の時代に作られた希少な道具は、市場でも高値での取引が見込まれます。
保存状態は査定の際に非常に重視される要素です。欠けやヒビがあれば価格が下がる可能性がありますが、未使用あるいは丁寧に扱われてきたものは、希少性と相まって高額査定につながることもあるでしょう。
また、茶道具の価格は市場の需給バランスにも影響されます。特定の流派での流行やイベント開催時期などに応じて需要が高まる場合もあり、売却や購入のタイミングを見極めることが、より良い取引に直結します。
茶道具相場とは何か?
茶道具相場とは、市場で実際に取引されている茶道具の価格水準を指します。この価格は固定されたものではなく、主に以下のような要因によって変動します。
まず、道具のコンディションが重要です。損傷や修復歴がある場合は減額の対象となりやすく、逆に状態が良いものは高額評価されやすい傾向にあります。
次に注目すべきは、作家の知名度です。歴史に名を残す陶芸家や工芸家の作品は、希少性と芸術的価値により、コレクター市場で高く評価されます。
そして、市場の動きも見逃せません。一時的なブームや供給の変動によって、価格帯が大きく変わるケースもあります。相場は生きた情報であり、常に更新されていることを認識しましょう。
茶道具相場が市場に及ぼす影響
茶道具の相場は、購入・売却の判断だけでなく、市場そのものの活性度にも影響を及ぼします。
相場が上昇傾向にあるときは、投資や収集目的で茶道具を買い求める人が増加し、それがさらなる価格上昇を招くという好循環が生まれます。希少な作品は競争率も上がり、結果的に相場の押し上げ要因となるのです。
反対に、供給過多やブームの収束によって相場が下降すると、売却の難易度が上がり、買い手の目も厳しくなります。このような局面では、戦略的に市場と向き合う姿勢が必要不可欠です。
茶道具相場を調べる方法
相場を正確に把握するためには、いくつかの方法を併用することが効果的です。
専門家への相談
最も信頼性の高い方法は、茶道具に精通した専門家の意見を仰ぐことです。鑑定士や茶道具専門の買取業者であれば、品物の背景や市場動向も含めた総合的な判断を下してくれるでしょう。
このような専門家の知識は、価格だけでなく、適切な販売ルートの選定にもつながります。
ネットとSNSの活用
最近では、オークションサイトやフリマアプリを通じて、リアルタイムで取引価格を確認することが可能です。取引履歴や人気作家の動向をチェックすれば、相場感をつかむ参考になります。
さらに、茶道具愛好家のブログやSNSコミュニティでは、実体験に基づく情報や過去の相場変動事例を知ることができます。相場の理解を深めるには、こうした知識の積み重ねが大切です。
主な茶道具の種類と相場の特徴
茶道具は種類ごとに価値や需要が異なり、それぞれ独自の相場があります。
茶碗の相場
茶碗の相場は、その産地や作家、時代、状態、由来など多くの要素によって大きく変動します。もっとも一般的な価格帯としては、現代作家の量産品や教室用であれば数千円から一万円程度で購入が可能です。これらは日常的な稽古用として親しまれ、百貨店や陶器市などでも多く流通しています。
一方で、著名作家による作品、あるいは人間国宝や文化勲章受章者の作品になると、一気に価格帯は跳ね上がり、十万円から百万円単位となることも珍しくありません。特に千家十職や楽家歴代など、茶道界に深く結びついた系譜を持つ作家の作品は、流派の好みによって需要が高く、そのぶん市場価値も安定して高水準を保ちます。
古美術の分野になると、桃山時代の志野・織部・井戸などの名品は数百万円から数千万円に及ぶこともあります。名物級となれば、重要文化財や重要美術品に指定されていることもあり、相場という概念では測れない特別な領域に属します。こうした名品は美術館や一部の蒐集家の手に渡るため、市場に出回る機会自体が極めて稀です。
また、江戸時代の京焼や九谷、瀬戸などにおいても、作品や箱書、伝来によって相場に幅があります。千家好みの箱書がある場合は特に評価され、価格に大きく影響します。箱や仕覆が当時のままで揃っている場合、保存状態が良ければさらに価値が増します。
最近では、昭和〜平成期の優れた陶芸家の作品にも注目が集まりつつあり、藤原雄、金重陶陽、加藤唐九郎などの作品は十万〜百万円以上の値がつくことがあります。これらは工芸と美術の中間に位置づけられ、実用にも鑑賞にも向くため人気があります。
全体的に見ると、茶碗の価格は「焼き物」としての美術的価値と、「茶道具」としての流派・茶人の評価、この二軸によって相場が形成されているといえます。茶碗は実用品でありながら精神性も強く反映される道具であるため、価格は単なる技術や造形の優劣だけでは決まらず、背景を含めた総合的な評価が必要とされます。どのような席で使われてきたか、その茶碗に込められた「格」や「風情」が相場を左右しているのです。
茶杓の相場
茶杓の相場は、その作者や時代、素材、添えられた箱書の有無などによって大きく変動します。現代作家の茶杓であれば、一般的なもので1万円前後から購入可能ですが、人気作家や千家十職による作品となると5万円〜20万円ほどの値が付くこともあります。特に、裏千家・表千家・武者小路千家の家元や宗匠が削ったもの、または署名・花押・共箱付きのものは希少価値が高まり、高額になります。古作に分類される江戸期以前の茶杓では、作者の特定ができるものや茶人の好み物であれば数十万円、時に百万円を超えることもあります。たとえば、千利休や織部、遠州などの伝承品には極めて高い評価が付き、オークション市場では骨董品として扱われます。竹の質、節の位置、削りの技術、銘の妙なども価格を左右する要素です。また、桐箱に著名な書付がある場合、その書付者の権威によって価格が上がるケースも多く見られます。市場では、有名茶会に出品された履歴のある茶杓も希少品として扱われます。全体的に見ると、茶杓は小品ながらも茶道具の中でも精神性が強く反映されるため、収集家にとって特別な位置づけを持ち、相場もその象徴性に比例して高まる傾向があります。
棗の相場
棗(なつめ)の相場は、その形状、作家、蒔絵の精緻さ、時代背景によって大きく異なります。現代作家による量産品であれば数千円から1万円程度で流通していますが、有名作家、特に千家十職の中村宗哲や歴代の塗師による作品となると数万円から数十万円が一般的です。たとえば中村宗哲歴代の真塗棗などは保存状態が良ければ20万円前後の値がつくこともあります。さらに桃山時代から江戸初期にかけての古作、たとえば嵯峨棗や珠光棗などとされる名品は、真贋や由来の確かさにもよりますが100万円を超える価格がつく場合もあります。利休形の町棗で銘が付いた伝世品などは、茶会での取り合わせにも使われるため需要が高く、競合があればオークションで高騰する傾向があります。また、蒔絵の意匠が琳派風や加賀蒔絵などで華やかなものになると、装飾性の高さから評価されやすく、20〜50万円前後で取引されることがあります。雪吹や平棗といった特殊な形状も茶人の好みによって評価が分かれますが、希少性ゆえに高値をつけることも珍しくありません。現代では共箱・仕覆の有無や、表千家・裏千家での使用歴、伝来の履歴書などが価格に大きく影響します。市場価格はおおよそ数千円から数百万円までと幅広いですが、特に利休・織部・遠州らに由来する伝世品は別格とされます。
水指の相場
茶道具の水指は、素材や作家、時代、状態によって相場が大きく変動します。一般的な現代作家の水指であれば、状態が良好なもので2〜5万円前後から取引されることが多いです。一方で、人間国宝や有名作家の手による作品となると、10万円を超え、場合によっては数十万円の値がつきます。古美術的価値のある江戸時代以前の水指や、伝来や逸話のある名品クラスのものは、100万円以上の高額となる例もあります。特に仁清・乾山・遠州好みの写しや本歌は人気が高く、市場でも注目されています。素材によっても価格帯は異なり、陶器製の水指は幅広い層に流通していますが、蒔絵や漆塗り、金属製の手桶形水指などは、意匠や保存状態次第で高値になります。近代の漆芸家や金工家の作品も一部のコレクターに好まれ、価格は安定しています。贋作や保存状態が劣るものは、数千円〜1万円程度の扱いになることもあります。市場では箱書や伝来、共箱の有無も価格を左右する要素です。流派によって好まれる形や様式もあるため、道具組みとの相性を考慮して評価されることが多いです。
釜の相場
茶道具の中でも釜は格式と実用性の象徴とされ、相場は作者・産地・時代・状態によって大きく異なります。現代作家のものでは数万円から10万円程度が一般的ですが、人間国宝や著名作家の作品となると20万円〜100万円以上の値がつくこともあります。特に金森紹栄や角谷一圭など、人気鋳物師の作には安定した需要があります。江戸時代の釜は保存状態が良ければ数十万円からの高値がつくこともありますが、銘の真贋や由来が重視されます。また、添え道具(蓋、鐶、風炉との組み合わせ)が完備していると価格に大きく影響します。なお、鉄味や火の入り、肌の景色も査定において重要な評価ポイントです。実際の買取価格は売却先(オークション、専門店、個人間)によっても差が出るため、複数の見積もりを取るのが望ましいでしょう。茶室に映える形状や流派による好みも価格に関わる要素となります。全体として、量産的なものは1万円未満での流通も見られますが、名品は別格の世界です。
鉄瓶の相場
鉄瓶の相場は、産地や作家、時代、状態によって大きく変動します。一般的な現代作の実用的な鉄瓶であれば、中古市場では1万円前後から手に入ることが多いです。しかし、南部鉄器など伝統工芸品に分類されるものや、有名作家による作品であれば、数万円から十数万円の価格がつくこともあります。特に釜師や金工家の手による美術的価値の高い鉄瓶は、20万円~50万円以上の高額になることも珍しくありません。明治・大正期の優品や、銀象嵌や金工細工が施されたものになると、コレクター市場では100万円を超える例もあります。蓋や摘み、底部の銘の有無や種類も評価を左右し、無銘でも造形や保存状態が良ければ高値となることもあります。逆に、錆や欠損がある場合は価値が下がりやすく、数千円での取引にとどまるケースも見られます。現在の相場は中国をはじめとする海外バイヤーの動向にも影響を受けており、特に南部鉄瓶は安定して高い人気を誇っています。全体的に見て、鉄瓶は工芸と茶道実用を兼ねた評価軸で価格が決まるため、目利きの力が重要な分野です。
花入の相場
茶道具の花入の相場は、素材・作家・由来・状態によって大きく異なります。一般的な現代作家の竹製や陶製の花入であれば、数千円から数万円程度で流通していますが、有名作家の作品や、古美術的価値を持つ品になると数十万円から百万円を超えることも珍しくありません。とくに千家十職や人間国宝の作品、あるいは小堀遠州・金森宗和・片桐石州といった歴史上の茶人ゆかりの写しや由緒ある逸品は高額で取引されます。また、銘が付されていたり、伝来や仕覆が明確なものは、評価がさらに上がります。竹一重切や耳付の伊賀・唐津などの桃山陶も人気があり、美術館級のものはオークションで数百万円の落札例もあります。古銅製や中国渡来の唐物も一定の需要があり、保存状態と由来次第で高値が付きます。量産品や茶会記に記録のない無銘の現代品であれば、数千円から1万円前後での買取が多く、再販価格も控えめです。全体として、道具としての実用性よりも、作家性・美術的価値・茶の湯での好みが重視される市場です。
香合の相場
香合の相場は、その材質・作家・時代・来歴によって大きく異なります。現代作家の量産品であれば数千円から数万円程度が一般的ですが、名工による一点物や歴史的価値のあるものになると数十万円から百万円を超えることもあります。たとえば、楽吉左衛門や中村宗哲といった著名な作家による香合は高額で取引されやすく、状態や共箱の有無も価格に大きく影響します。古い時代の唐物香合や、茶人好みの銘品となれば、美術品的価値が加わり相場はさらに上がります。また、季節感や意匠が優れているもの、名品とされる写し物も評価の対象です。オークションでは数万円からスタートすることが多いですが、希少性が高い場合は激しい競りが起こります。茶会で使われた実績や名家旧蔵品などの来歴があると、鑑賞価値としての評価も加わります。流派によっても選好が異なるため、需要の高い流派に合った作行きであれば高値が期待できます。総じて、茶道具としての格と美術的完成度の高さが価格に直結する分野と言えるでしょう。
棚の相場
棚の相場は、材質や作家、時代背景によって大きく変動します。一般的な現代の量産品であれば、数千円から2万円前後で取引されることが多く、入門者向けの簡素な棚もこの価格帯に含まれます。桑や黒柿、紫檀などの高級木材を使用した棚は10万円を超えることもあり、特に共箱付きの名工作品は数十万円の価値がつくこともあります。表千家・裏千家など特定流派にゆかりのある棚や、宗匠花押入りの棚は一層高額となる傾向があります。古い時代の棚で保存状態が良好なもの、または伝来が明らかな道具組の一部として現存する場合には、100万円を超えることも稀ではありません。一方、古いが痛みが激しい棚や、箱書きや伝来の記録が曖昧なものは相場が下がりがちです。茶道具の棚は使用する流派や点前によっても好みが分かれるため、市場では流通量の割に相場が安定しないカテゴリといえます。オークションでは人気作家の作品や個性的な意匠の棚に注目が集まり、相場を大きく上回る落札例も見られます。近年はミニマルな現代建築や茶室空間に合う簡素な棚も注目されており、新旧問わず評価基準は多様化しています。
鉢の相場
茶道具としての「鉢」は、主に盛物や炭斗の一部、または飾り鉢などとして用いられます。そのため使用目的や素材、作家によって相場は大きく異なります。一般的な無銘の陶磁器鉢であれば、古美術店や骨董市で5,000円〜2万円程度で見られますが、有名窯元の作品や時代物になると価格は跳ね上がります。たとえば仁清写や乾山写など意匠性の高いものは3万円以上することがあり、本歌に近いものになると10万円を超えることもあります。桃山〜江戸初期の古窯もの(信楽、伊賀など)の鉢で状態が良いものは20万〜50万円で取引される例もあります。また、著名作家の一品制作で花入や供物鉢と兼用される作品になると、現代でも10万円台〜30万円前後が相場です。さらに茶道流派の家元書付がある鉢は、価値が一段と上がり、書付の茶会道具として30万円以上の評価も珍しくありません。材質が木地や漆器である場合、輪島塗や春慶塗などの伝統技法が用いられたものであれば、美術工芸品としても見られ、やはり10万〜数十万円に達することがあります。市場での相場は、使用頻度の少ない道具であることもあり、茶碗や棗ほど流動性は高くありませんが、審美性や格により大きな幅があります。
食籠の相場
食籠(じきろう)は、主に干菓子などを盛る蓋付きの容器で、茶席では菓子器として用いられます。その相場は素材や作家、時代によって大きく異なります。漆器製の食籠では、近代以降の一般作家物であれば2万円前後から取引されることが多く、著名作家による作品や蒔絵の精緻なものになると10万円〜30万円以上の値が付くこともあります。江戸時代の古い漆器で状態が良く、茶人ゆかりの銘品となればさらに高騰し、数十万円から百万円を超えることもあります。一方、陶磁器製の食籠では、仁清写や乾山写など京焼系の作品が評価されやすく、5万円前後から始まり、完成度や作者によっては数十万円台に達します。唐物や古染付の食籠は希少性もあり高額になる傾向があり、保存状態が良ければコレクター市場で高く評価されます。共箱や箱書の有無も重要で、特に表千家や裏千家の家元箱があると価格が倍増することもあります。茶道具としての需要が根強いため、贈答品や遺品整理で出てくるものも多く、状態や付属情報によって価値に大きな開きが生じるのが特徴です。全体として、流通価格は1万円台から百万円前後までと幅広く、評価には専門的な鑑定が欠かせません。
炉縁の相場
炉縁(ろぶち)は、茶室の炉に据えて用いる枠で、材質や作家、状態によって相場が大きく異なります。最も一般的な黒柿や桑、欅などの木地炉縁は、量産品であれば中古市場で1万円前後から入手可能です。一方、上質な材を用いた手作り品や、著名な指物師・木工芸作家の作品になると、5万円〜15万円程度が目安となります。漆塗りや蒔絵、沈金などの装飾が施された美術工芸的な炉縁は、20万円を超えることもあります。また、表千家や裏千家の好みに応じた「好写」や家元書付のあるものは、流派内での評価が高く、状態次第で30万円以上となる場合もあります。古作や名物とされる炉縁になると、さらに希少性が加味されて高額取引になることがあります。なお、季節や炉の設えに応じて、需要が高まる秋冬の時期には相場もやや上昇する傾向があります。オークションや専門店での価格にはばらつきがあるため、複数の情報源を参照することが重要です。保管状態や木地の割れ、漆の剥落などの傷みの有無も査定に大きく影響します。
皆具の相場
皆具(かいぐ)は、茶の湯において風炉や炉の季節に用いられる基本的な水屋道具一式であり、古来より格式を重んじる茶会などで重宝されてきました。一般的な皆具の構成は、水指・杓立・建水・蓋置の四点で、同一作家や同一窯で揃えられた一式が高く評価されます。現代作家によるものは数万円から十万円前後の取引が多く、著名な作家による作品や希少な古作の場合、数十万円を超えることもあります。たとえば楽吉左衛門や中里無庵などの作になると、一式で百万円以上の価値がつくこともあります。一方、量産品や無銘の作品では数千円から数万円程度と安価に取引されることもあります。素材や技法、保存状態、共箱や書付の有無が評価に大きく影響します。茶道具専門の買取業者やオークションでは、皆具としての整い方や道具の格が価格を左右します。とくに遠州流や武家茶道など格式を重んじる流派では、皆具の扱いが重視される傾向があり、流派好みの作風かどうかも評価に関わります。現代でも床飾りと実用を兼ねた一具として、見た目の調和や景色が良いものが高く取引される傾向にあります。
茶道具の価値を保つ・高めるために
適切な管理と知識があれば、茶道具の価値は長く維持され、場合によっては高まることもあります。
保管と手入れ
保管環境としては、湿気や直射日光を避けることが基本です。陶器や金属類は乾燥状態を保ち、漆器などは傷つかないように個別包装するなど、細心の注意を払いましょう。
使用後は柔らかい布や専用クリーナーで汚れを落とし、十分に乾燥させてから収納することで、劣化を防げます。
業者選びと売却のコツ
売却を考える場合は、実績があり、茶道具に精通した業者を選ぶのが鉄則です。査定方法や対応の丁寧さ、手数料の有無なども確認した上で選ぶようにしましょう。
高値で売るためには、丁寧に撮影した写真や道具の来歴、状態の詳細を提示することが有効です。また、人気の高いタイミングで出品するのもポイントです。
まとめ
茶道具の相場を知ることは、より良い売買を実現するための第一歩です。市場の流れや品物の特徴を正しく把握することで、失敗のない取引が可能になります。
情報収集には、専門家の意見やインターネットを活用し、定期的に市場の動きをチェックすることが大切です。また、道具の保管と手入れを怠らないことで、その価値を最大限に引き出せるでしょう。
信頼できる業者との出会いも成功の鍵となります。多角的に比較検討し、自信を持って茶道具との付き合いを深めていきましょう。
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弊店は販売をする店舗だからこそあらゆる骨董品が高価買取を可能にします。
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どうしたら良いか分からなかったり、ご売却を迷われている方がが多いと思いますが、どのようなことでも北岡技芳堂にお任せください。
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2025年5月7日
茶入とは茶道における濃茶の象徴 茶道具買取ブログ
茶入は、茶道において濃茶(こいちゃ)を点てる際に用いる茶葉容器であり、その格の高さから「茶器の王」とも称されます。
一般的に堅く焼き締められた陶器製が多く、装飾や形状、由緒によって名品として珍重されることもあります。
唐物肩衝茶入 北野 南宋時代 1101年〜1300年
本作は、南宋期に焼かれた唐物肩衝茶入である。胴部にふくらみをもたせた端正な肩衝形をとり、鉄分を多く含む淡褐色の緻密な陶胎により、軽やかでありながらしっかりとした存在感を備えている。轆轤挽きは非常に薄く、器形全体に気品ある張りをもたらす。
底部は板起こしの平底で、外周がわずかに立ち上がる。胴裾は緩やかにすぼまり、中央には一条の沈線がめぐらされ、形に締まりを与える。頸部は短く立ち上がり、口縁は外に捻じ返され、丸みをもって仕上げられている。
施釉は口辺から胴部にかけて茶褐色の鉄釉を薄く掛け、裾から底にかけては土見せとする。釉の溜まった部分は黒褐色を呈し、なだれのように底へと流れ落ちる景色を見せる。なお、口縁および底周りには後補の繕いが認められる。
高さ8.9cm、口径4.3cm、胴径7.4cm、底径4.2cm。
歴史と由来
茶入の起源は中国・南宋時代に遡り、薬種や香料を収めた唐物壺が日本にもたらされ、それを茶葉の保存容器として転用したのが始まりとされています。室町時代以降、喫茶文化の広まりとともに、これらの壺は「唐物茶入」として格別に尊ばれるようになりました。
やがて、和様の趣を重んじるわび茶の興隆とともに、国産の「和物茶入」も登場し、瀬戸焼などを中心に独自の形や風格を持つ作品が生まれていきます。
主な種類
茶入は形状や由来によって分類され、それぞれに特有の美意識があります。
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肩衝(かたつき)
胴がふくらみ、肩が張ったもっとも格式の高い形。唐物茶入の代表的形式で、「松屋肩衝」「初花」などの名物が知られます。 -
茄子(なす)
胴が丸みを帯びて茄子に似た形。柔らかさと安定感があり、「松本茄子」「松嶋」などが有名です。 -
文琳(ぶんりん)
球形に近く、口元がややすぼまった優美な形。唐物文琳が特に珍重され、「付藻茄子」などの名物があります。 -
瓢箪(ひょうたん)大海(たいかい)尻膨(しりぶくら)
など形状による分類は多岐にわたり、それぞれ茶人の好みに応じて用い分けられました。
漢作茄子茶入 銘 茜屋 南宋時代・13世紀 高7.4cm 径7.7cm
ふっくらとした茄子形の小壺に、栗皮色に近い黒飴釉がむらなく掛けられ、ところどころには蛇蝎釉のなだれが景色を添えている。やや高めの肩張りに柔らかな腰の張りを見せ、気品ある姿を呈す。本品は『玩貨名物記』に「唐物小壺」の筆頭として、「あかねやなすひ 尾張様」と記されており、尾張徳川家伝来の名物茶入として知られる。かつて堺の商人・茜屋吉松が所持していたことから「茜屋」の銘で呼ばれるに至った。その後、家康の手に渡り、駿府御分物として初代尾張藩主・徳川義直に伝わったとされる、来歴確かな名品である。
装飾と仕立て
名物茶入は、仕覆(しふく)と呼ばれる緞子や錦などで作られた袋に収められ、その裂地や縫製にも極めて高い芸術的・象徴的価値があります。また、牙蓋(げぶた)や塗蓋(ぬりぶた)も重視され、すべてが一揃いで茶人の「見立ての美」を体現します。
茶人たちの選好
千利休は「肩衝」を好み、名物「初花肩衝」や「新田肩衝」などに特別な価値を見出しました。一方、小堀遠州は典雅な「文琳」や「大海」を、武家風の茶を好んだ久田宗也は端正な「和物肩衝」を尊びました。時代ごとに、茶入の理想像も移り変わっていきます。
現代の茶入
今日でも茶入は、濃茶の点前において重んじられています。高台に銘があるものや、歴代の陶工による写し物も多く、美術品としても評価が高く、オークションや茶会でその真価が問われます。
瀬戸釉耳付茶入 銘 浦月江戸時代・17世紀 仁清作 高8.4cm 口径3.0cm 底径3.1cm
精緻に成形された白茶色の素地に、艶やかな褐釉がむらなく掛けられ、胴部には黄釉のなだれが柔らかな景を描き出す。肩には小振りながら存在感のある耳が左右に付き、底部は糸切り仕上げとする。全体に瀟洒で優美な佇まいをたたえる茶入である。その意匠は、唐物茶入には見られない軽妙な趣を備え、近世初期の公家風茶道を代表する金森宗和の好みに呼応する。宗和と深い交流のあった仁清が、宗和流の美意識に応えて創作した新たな様式の茶入とみなされる逸品である。
和物と唐物の比較 茶入における二つの系譜
茶入は、茶道具の中でも濃茶の象徴的存在として重んじられ、特に唐物(中国製)と和物(日本製)の二系統が知られています。この両者は、見た目や価値観の違いだけでなく、茶の湯における審美観の変化を示す重要な鍵ともなっています。
唐物茶入(からもの)
産地中国・南宋〜元〜明時代の製陶地(景徳鎮など)
時代的な登場
鎌倉〜室町時代に輸入
初期の用途
香料・薬種壺などを転用
器形の主流
肩衝・文琳・茄子など
焼成技法
施釉陶(釉薬をかける)
美意識
端正・左右対称・整った形
茶人の評価
室町の将軍・公家・初期の茶人に愛好された(足利義政、珠光など)
仕覆
錦・金襴などの唐裂が多い
名物の例
松屋肩衝・初花・付藻茄子・松本茄子
※唐物茶入は、室町時代の**「唐物賞玩(しょうがん)」**という文化の象徴でもあり、将軍や大名たちは舶来の唐物茶入に強い価値を見出していました。これらは器形が整い、釉調も美麗で、権威と格式を感じさせるものです。
和物茶入(わもの)
主に瀬戸(愛知県)、信楽(滋賀)、備前(岡山)など
時代的な登場
室町後期〜桃山期に登場・普及
初期の用途
茶の湯のために意図的に制作
器形の主流
肩衝・大海・瓢箪・尻膨など幅広い形
焼成技法
施釉・焼締・灰被など多様
美意識
侘び・枯れ・不均衡・土味
茶人の評価
村田珠光以降、千利休・古田織部・小堀遠州らによって高評価
仕覆
裂地も国産の見立てが増える
名物の例
利休尻膨・瀬戸肩衝・信楽尻膨・遠州好大海
※和物茶入は、**千利休以降の「わび茶」**の精神に合致するものとして再評価されました。特に、焼締や素朴な作行き、土味のある表情は、唐物とは対照的な日本独自の美意識「侘び寂び」の体現とされました。
▪️唐物は「格式と完成美」、和物は「不完全と自然美」を体現しています。この両者のバランスは、茶人の美意識の中で揺れ動きながら発展してきた日本の茶道文化そのものを象徴しているとも言えるでしょう。
唐物茶入 名物とその逸話
1. 初花肩衝(はつはな かたつき)
分類:唐物肩衝
-
由来・逸話:足利将軍家に伝来した名品で、三斎(細川忠興)から千宗旦へと受け継がれたとされます。名は、早春の一輪の花のように清楚な美しさを讃えたもの。利休も愛したと伝えられますが、その後「三斎家伝来の筆頭茶入」として、千家にとっての理想の茶入とされました。
2. 松屋肩衝(まつや かたつき)
分類:唐物肩衝
-
由来・逸話:奈良の豪商・松屋久政の所持に由来。後に織田信長、豊臣秀吉、徳川家康へと伝わった、日本を代表する名物茶入です。古格を誇り、室町時代からその存在が知られていた**「三肩衝」**の一つ。
3. 新田肩衝(にった かたつき)
分類:唐物肩衝
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由来・逸話:南北朝時代の武将・新田義貞の所持とされ、歴史的な名を冠する名物。後に三好家、織田家を経て豊臣秀吉の手に渡ります。利休もこの茶入に格別な関心を抱いたとされ、三斎にも所望されました。
4. 松本茄子(まつもと なす)
分類:唐物茄子
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由来・逸話:松本幸四郎が所有したことからその名がついたとされる。後に茶人の間で「茄子茶入の最高峰」と称され、名物裂である「藤浪緞子」の仕覆が添えられていました。形がふっくらと丸く、非常に端正な作。
5. 付藻茄子(つくも なす)
分類:唐物茄子
-
由来・逸話:「三茄子」のひとつとされ、千利休が絶賛した逸品。徳川家に伝来し、後に将軍家所蔵となる。付藻とは水草のようにたなびく釉薬の景色に由来するといわれます。仕覆は「緞子仕覆」、利休の見立て。
和物茶入 名物とその逸話
1. 瀬戸肩衝(せとかたつき)
分類:和物肩衝(瀬戸焼)
-
由来・逸話:尾張国・瀬戸の窯で焼かれた茶入で、利休や織部、小堀遠州が愛用。唐物に勝るとも劣らない出来を示す名品が多く、「和製唐物」として讃えられました。利休が「唐物に劣らず」と語ったとされるのもこの系統。
2. 信楽尻膨(しがらき しりぶくら)
分類:和物尻膨(信楽焼)
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由来・逸話:武野紹鴎や千利休らが見出した、素朴な美をもつ信楽焼の茶入。胴がふっくらと膨らんだ姿が「尻膨」の名の由来。焼締ならではの土味と窯変が魅力で、利休はこのような和物を好んで茶席に用いました。
3. 利休尻膨(りきゅう しりぶくら)
分類:和物尻膨(利休所持)
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由来・逸話:千利休が用いた尻膨茶入。焼締の肌と歪みの美が「侘び」を表現しているとされ、利休の美学の象徴的な器です。後に古田織部や細川三斎にも影響を与え、和物の価値を確立させた中心的な存在。
4. 遠州好大海(えんしゅうごのみ たいかい)
分類:和物大海(瀬戸焼)
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由来・逸話:小堀遠州が選好した大海形の茶入。大きな胴と穏やかな曲線が特徴で、典雅で礼儀正しい茶風を理想とした遠州の美意識を体現。細工や仕覆も精緻で、「美の集大成」と称される作品もあります。
名物茶入の位置づけ
名物茶入は単なる茶道具ではなく、所有者や仕覆、蓋、伝来の記録を含めた「一揃いの物語」として重視されてきました。中には、一国一城にも匹敵する価値があるとされたものもあり、戦国大名の外交・贈答に用いられた記録も残ります。
瀬戸肩衝茶入
「白肩衝」と付属仕覆 左から「牡丹唐草金襴仕覆」、「鶏頭金襴仕覆」、 「金地天鷲絨(ビロード)挽家仕覆」「牡丹唐草金襴仕覆」明時代(15~16世紀) 「鶏頭金襴仕覆」元~明時代(14~15世紀)
茶入における「仕覆」「名物裂」「茶人との関係性」
仕覆との関係性 ― 茶入を包む「もう一つの美」
仕覆(しふく)とは
茶入などの高貴な茶道具を包むために仕立てられた布製の覆い袋。主に錦・緞子・間道(かんどう)などの裂地で作られ、中身を守る実用性と**「見立ての美」を引き立てる審美性**を兼ね備えています。
仕覆の意義
伝来を語る証
名物茶入は、それに付属する仕覆や牙蓋も含めて一揃いで「名物」とされ、仕覆の由来もまた道具の来歴を雄弁に語る。
茶人の見立ての象徴
仕覆の裂地選定は、茶人の美意識・茶風を反映し、茶入の格や季節に応じた演出として大きな意味を持ちます。
茶会における格式の一端
拝見時に「袋から取り出す所作」も含め、茶入の重要性を引き立てる儀式的意味を持ちます。
名物裂の解説 ― 茶入仕覆に使われる高貴な布
名物裂は、茶道具の仕覆や袱紗に用いられる、特に珍重された裂地の総称です。以下は、特に茶入の仕覆として有名な名物裂の例です。
藤浪緞子(ふじなみ どんす)
間道(かんどう)
紹巴(しょうは)緞子
緞子(どんす)・錦(にしき)
※裂地の名称と茶人名の併記例 「利休間道」「遠州緞子」など、茶人の名を冠して伝来
まとめ
茶入は単なる茶道具ではなく、裂・仕覆・蓋・由来・茶人の見立てと一体で評価される複合的文化財です。特に仕覆に用いられた名物裂や、茶人ごとの好みによる「組み合わせの妙」は、茶入鑑賞の大きな醍醐味でもあります。
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