2025年5月30日
表装が持つ重要な役割とは? 掛軸買取コラム10
古くから日本の文化を彩ってきた掛軸の魅力は、作品だけでなく表装にもあります。
表装は、掛軸の優美さを際立たせ、保存性を高める大切な要素も兼ね備えています。
本コラムでは、表装の種類や役割、適切な扱い方について詳しく説明いたします。
表装が持つ重要な役割とは?
掛軸の表装とは何か
掛軸における表装とは、中央の絵画や書作品(本紙)を取り囲むすべての装飾部分を指します。具体的には、本紙の上下・左右・外縁を囲う布や紙に加え、掛軸の最下部に取り付けられる棒状の部品(軸先)、巻き収納用の丸い棒(軸棒)、上部の吊り紐(掛緒)なども含まれます。
また、表装は掛軸に限らず、屏風・巻物・額装などにも施されます。これらを仕立てる際に、作品の周囲を布や和紙で補強し、見た目を整える技術一式を「表装」と呼びます。
表装の歴史
日本における表装の起源は、飛鳥時代(6世紀後半~7世紀)に仏教とともに伝来した経巻文化にあります。仏典を装飾・保護する目的で巻物仕立ての技術が発展し、日本独自の「大和表装」という様式が生まれました。
平安時代には、貴族階級の間で書画鑑賞が盛んになり、表装技術がさらに洗練されます。室町時代に至ると、茶道の興隆と共に、千利休が掛軸の重要性を説いたことで、掛軸文化が広く普及しました。
江戸時代には、文人たちによる詩書画の隆盛に伴い、掛軸の表装も多様なスタイルが誕生しました。こうして、掛軸の発展とともに表装技術も深化し、現代に受け継がれています。
表装の重要性と役割
表装は、掛軸の美観と保存性を高めるために、次のような役割を担っています。
-
作品を際立たせる: 表装に適した素材や意匠を選ぶことで、作品本来の色彩や構成が引き立ちます。
-
保護と保存: 布や紙でできた掛軸は湿気・日光・埃に弱いため、表装によってそれらから守り、劣化を防止します。
-
耐久性の向上: 巻いて収納する際、しっかりとした表装が施されていれば、押しつぶしや破損を防ぐことが可能です。
-
価値の向上: 精緻な表装仕立ては掛軸全体の品位を高め、作品価値を底上げする効果があります。
このように、表装は単なる飾りではなく、作品の保存と価値維持に不可欠な役割を果たします。優れた表装が施された掛軸は、より高い評価を受けるのです。
掛軸の表装の種類と特徴
掛軸の表装には複数の形式があり、それぞれ使用場面や目的が異なります。代表的な種類を以下に紹介します。
丸表装(まるひょうそう)
最も基本的な表装様式で、一種類の裂地のみを用いてシンプルに仕立てる手法です。すっきりとした外観が特徴です。
二段表装(にだんひょうそう)
掛軸を二層構造で仕上げる方法で、一文字(装飾布)を設けない点が特徴です。天地に無地、中廻しに文様入り裂地を配し、上品な印象を与えます。
三段表装(さんだんひょうそう)
二段表装に一文字と風袋を加えた三層構成の表装で、より格調高い作品に適した仕立てとなります。
筋割表装(すじわりひょうそう)
丸表装に細い筋(裂地の線)を加え、作品に奥行きや立体感を持たせる形式です。筋部分は「筋風帯」または「筋割風帯」とも呼ばれ、伝統技法のひとつです。
茶掛(ちゃかけ)
茶室や茶事で使用される掛軸向けの表装で、簡素で落ち着いた意匠が特徴です。過剰な装飾を避け、作品の趣を重視するスタイルです。
仏表装(ぶつひょうそう)
仏画や仏像画用の表装で、最も格調高い部類に入ります。金箔・絹など高級素材を用い、荘厳な雰囲気を持たせるのが特徴です。主に寺院や仏壇に掲げられます。
掛軸の表装を構成する部位と名称
掛軸の表装にはそれぞれ名称と役割を持った部位が存在します。ここでは主要な部位とその機能について説明します。
本紙(ほんし)
本紙とは、掛軸の中央に位置し、絵画や書が描かれている最も重要な部分です。和紙や絹が使われ、素材の風合いが作品の雰囲気を左右します。
主な本紙素材は以下の通りです。
-
絹本(けんぽん): 平織りの絹地で、光沢を抑えた落ち着いた質感。
-
絖本(こうほん): 練糸を用いた繻子織りで、純白に輝く高級感が魅力。
-
紙本(しほん): 和紙素材で、楮・三椏・雁皮・麻などを原料とします。
一文字(いちもんじ)
本紙の上下に配される細長い裂地部分で、金襴や銀襴など高級裂地が用いられます。
柱(はしら)
本紙の左右を囲う裂地であり、掛軸全体の見た目を整え、バランスを取る役割を果たします。
天地(てんち)
本紙の上下部分を指し、緞子など落ち着いた裂地が使用されます。天地の裂地が柱まで回る形式を「総縁(そうべり)」と呼びます。
風帯(ふうたい)
掛軸上部から垂れる二本の細い裂地。中国で掛軸が風に揺れ燕を避けた故事から、「驚燕(きょうえん)」とも称されました。日本では装飾要素として受け継がれています。
筋(すじ)
本紙周囲を細く囲む裂地を筋と呼び、四方を囲む場合は「筋返し(すじがえし)」と表現します。
掛軸の表装が劣化したら修復すべきか?
掛軸の表装に劣化が見られる場合、修復を検討することもあるでしょう。
結論として、売却を視野に入れるならば「手を加えない方がよい」とされています。
シミや破損があっても、自力で修復しようとするとかえって悪化するリスクがあります。また、表装の種類や状態が、時代特定の重要な手がかりになるため、修復により価値が下がることも考えられます。
そのため、売却予定の場合は現状維持を徹底し、必要に応じて専門家に相談するのが賢明です。
まとめ
掛軸の表装は、単なる美観や保護のためだけでなく、作品そのものの価値を高める重要な役割を担っています。
長い年月をかけて培われた表装技術は、掛軸を引き立て、保存性を向上させることで、作品の真価を支えています。多様な表装形式と精緻な技法は、用途や空間に合わせて工夫されてきました。
掛軸を楽しむ際には、作者の意図や表現内容だけでなく、表装の意匠にも注目すると、より深くその魅力を味わうことができるでしょう。
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美術品の売却をご検討なさっているお客様や、ご実家のお片付けや相続などでご整理をされているお客様のご相談を賜ります。
どうしたら良いか分からなかったり、ご売却を迷われている方がが多いと思いますが、どのようなことでも北岡技芳堂にお任せください。
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北岡技芳堂では骨董品の他にも、絵画や貴金属、宝石、趣味のコレクションなど様々なジャンルのものを買受しております。
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2025年5月29日
掛軸の使い方・掛け方・外し方・飾る場所について 掛軸買取コラム9
掛軸は、日本の伝統的な美術作品の一つとして多くの人から知られています。
しかし、いざ飾るとなると「どこに掛ければ良いのか」「どうやって飾れば良いのか」と悩むことも多いのではないでしょうか。
このコラムでは、掛軸の具体的な掛け方、飾る場所についてご説明いたします。
掛軸の使い方・掛け方・外し方・飾る場所
掛軸の掛け方|飾り方と手順をわかりやすく解説
掛軸を掛けるために必要な道具を確認する
掛軸を美しく飾るには、本体のほかに以下の道具を準備する必要があります。事前にすべて揃っているかを確認しましょう。
掛け緒(かけお)
掛軸本体に付属し、飾る場所に吊るすための紐です。
金具
掛軸の釣り紐を支えるため、壁に取り付けて使用します。
矢筈(やはず)
長さおよそ1mの棒で、先端が二股に分かれています。二股部分に掛け緒を引っ掛け、掛軸を持ち上げる際に使用します。
掛軸の掛け方|基本の手順
-
巻紐(まきひも:掛軸を巻き留めるための紐)の端をそっと引き、ほどきます。
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巻紐を掛軸の背面側へ回し、右端へ寄せておきます。
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掛軸を床などに広げ、半分ほど開きます。
-
風帯(ふうたい:掛軸下部に垂れる細長い布)を下へ真っ直ぐに伸ばします。
※強い折り目がある場合は、指で優しく押さえながら伸ばしましょう。 -
掛軸の中央部分を軽く持ち、もう一方の手で矢筈を持ち、掛け緒に引っ掛けます。
-
掛けたまま持ち上げ、あらかじめ壁に取り付けた金具に掛け緒を掛けます。
-
矢筈を外して床に置きます。
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掛軸の両端を持ち、ゆっくりと最下部まで丁寧に広げます。
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飾り終えたら、少し離れた位置から掛軸全体を眺め、水平や左右のバランス、高さを確認します。
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最後に、風帯の形を整え、美しく仕上げます。
掛軸の外し方|丁寧な取り扱い手順
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掛軸の横に矢筈を立てかけます。
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掛軸の下部両端を持ち、風帯の下あたりまで静かに巻き上げます。
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中央を軽く支えつつ、矢筈を持ちます。
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矢筈を掛け緒に引っ掛け、掛軸を持ったままそっと床に下ろします。
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矢筈を外し、風帯をやさしく織り込みます。
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風帯を織り込んだ後、掛軸全体を端から丁寧に巻きます。
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片手で掛軸を支え、もう一方の手で巻紐を巻きつけます。
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巻紐を掛け緒の下に通し、さらに掛軸の反対側の下部へ通してまとめます。
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最後に巻紐の長さと形を整えます。
掛軸を掛ける場所の選び方|飾り方のコツ
掛軸の雰囲気にふさわしい空間に飾る
掛軸は、和の趣を醸し出す伝統的な美術品です。
和室や仏間のような落ち着いた空間に飾ることで、その美しさが一層引き立ちます。
洋室で飾る場合でも、和モダンなインテリアと掛軸のデザインを調和させることで、洗練された印象に仕上がります。
直射日光を避ける
掛軸は紫外線に弱いため、直射日光の当たる場所を避けましょう。
柔らかな間接光のもとで飾ることで、掛軸を長く美しい状態に保つことができます。
鑑賞者の目線を意識する
掛軸を飾る際は、高すぎず低すぎず、見る人の目線に自然に合う高さを意識しましょう。
バランスよく飾ることで、より自然な鑑賞体験を提供できます。
高温多湿な環境は避ける
湿気の多い場所では、掛軸にカビやシミが生じるおそれがあります。
風通しの良い、湿度の安定した場所を選んで飾りましょう。
まとめ|掛軸を美しく掛けるために
掛軸を掛ける・外す際は、作品に負担をかけないよう、丁寧な手順を守りましょう。
また、飾る空間についても、掛軸の保存環境やインテリアとの調和を意識して選ぶことが大切です。
掛軸の掛け方や飾り方を正しく実践することで、より一層、空間に品格と風雅をもたらすことができるでしょう。
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2025年5月28日
掛軸の魅力について詳しく説明します。掛軸買取コラム8
掛軸は、日本の伝統的な美術品であり、ほとんどの人が掛軸の存在は知っていることでしょう。
しかし、具体的に掛軸とはどういったものなのか、意味や目的を知っている人は意外と少ないと思います。
そこで今回コラムでは、定義、歴史、構造、種類など、掛軸について幅広い知識・魅力をご説明いたします。
掛軸の魅力
掛軸とは
掛軸とは、書画(筆で書かれた文字=書や絵画=画)を、布や紙で装丁し、さらに竹や木の軸、吊り下げ用の掛け緒(ひも)を取り付け、壁に掛けて鑑賞するための美術品を指します。
室内装飾としてだけでなく、書画の内容によっては、季節感を演出したり、祝賀の席を彩るなど、多彩な場面で用いられています。
掛軸の起源と歴史
日本における掛軸の起源は、飛鳥時代にまで遡ります。この頃、中国から伝来した仏教と共に仏画の掛軸が伝わりました。ただし、当時はまだ現在のように壁に掛けて使用する形式ではありませんでした。
今日私たちが知る掛軸の形態が整ったのは、平安時代に入ってからのことです。仏教の影響を受けつつ、日本独自の美意識や装飾技法が加わり、独自の様式が発展しました。当初は主に仏画を飾る目的で、寺院や貴族社会に限られて使用され、庶民には広まりませんでした。
その後、鎌倉時代に広まった水墨画や、江戸時代に人気を博した浮世絵など、書画の発展に合わせて掛軸も進化を遂げ、現代に続く形式が確立されたのです。
掛軸の種類と特徴
仏壇掛け
仏壇内に掛けて礼拝の対象とする掛軸です。一般的に「本尊」と「両脇侍(左右の脇侍)」の三幅一組で飾られます。仏像を置く代わりに、より手軽に信仰を表すために用いられます。
床掛け
床の間に掛ける掛軸で、神聖な空間に飾ることで運気を高める意味が込められています。季節ごとに掛け替えることが習わしで、四季の移ろいを室内に取り入れる役割も果たします。
茶掛
茶室に飾るための掛軸で、茶道の重要な道具のひとつ。主に禅語などの書が用いられ、絵画は少数派です。一般の掛軸よりも細身に作られているのが特徴です。
掛軸の題材別分類と特徴
山水画
山や川、滝など自然の景観を描いたもの。特に富士山を題材にした掛軸は人気が高く、海外でも高い評価を得ています。
人物画(肖像画)
歴史上の武将や高僧などを描いた掛軸で、人物の偉業や精神を讃える意図があります。
浮世絵画
江戸時代の庶民文化を反映した浮世絵を掛軸に仕立てたもの。美人画、歌舞伎役者、風景画などが多く、現在も高い芸術的価値があります。
花鳥画
花や鳥、虫や草木を描いた掛軸。子孫繁栄や長寿、立身出世などの吉祥を象徴するモチーフが選ばれます。
動物画
虎や龍など力強い動物を描いた掛軸。魔除けや運気上昇を願う意味を込めて飾られます。
神仏画
神事や仏事のために作られた掛軸。神々(七福神、天神)や仏菩薩が題材となっています。
節句掛け
桃の節句や端午の節句など、年中行事に合わせて飾る掛軸。雛人形や兜、虎などが描かれます。
祝儀掛け
結婚式や元旦など慶事の際に用いる掛軸で、松竹梅、鶴亀、旭日、高砂といった縁起の良い絵柄が描かれます。
掛軸の表装について
掛軸は、作品に応じて異なる表装方法が施されます。この「仕立て」のことを「表装」と呼びます。ここでは代表的な2種をご紹介します。
大和表装
日本独自の伝統的な表装方法で、掛軸の主流となっています。「真・行・草」という格付けがあり、格式に応じた様式が選ばれます。
文人表装
中国・明代に流行した表装様式が元となっており、書画の両方に適用されます。特に漢詩や南画などには、「丸表装」や「明朝表装」が好んで使われます。
掛軸の構造と各部名称
掛軸は、多くの部材によって構成されます。以下に代表的な部分をまとめます。
本紙(ほんし)
書画が直接描かれた部分。縦長なら「堅物」、横長なら「横物」と呼ばれます。
本紙の素材により以下のように分類されます。
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絹本(けんぽん):絹製
-
絖本(こうほん):光沢のある絹製
-
紙本(しほん):紙製
一文字(いちもんじ)
本紙上下に配置された帯状の布。上部を「上一文字」、下部を「下一文字」と呼び、高級な金襴・銀欄が使用されます。
中廻し(ちゅうまわし)/中縁(ちゅうべり)
本紙や一文字の周囲に配される布部分。掛軸全体の印象を左右するため、作品や季節に合わせた裂地が選ばれます。
天地(てんち)
中廻しの上下に位置する布地。上を「天」、下を「地」と呼び、無地が基本ですが、落ち着いた柄入りもあります。
風帯(ふうたい)
天の部分から下がる細い二本の帯。ツバメ除けの意味もあり、「驚燕(きょうえん)」とも呼ばれます。
掛け緒(かけお)
掛軸を吊るすための紐で、「軸紐」とも言います。
鐶(かん)
掛け緒を通し、壁に固定するための金具部分。「江戸鐶」と「足摺鐶」に大別されます。
軸棒(じくぼう)
掛軸の下端にある棒。巻き上げるため、また重しの役割も果たします。通常は杉材が用いられます。
軸先(じくさき)
軸棒の両端部分。象牙や陶磁器、鹿角などで装飾されることが多いです。
まとめ
掛軸とは、日本の伝統美術を象徴する存在であり、書や画を壁に掛けて鑑賞するためのものです。用途に応じて仏壇掛け・茶掛・床掛けに、題材によって祝儀掛け・節句掛け・山水画などに分類されます。
掛軸の起源は中国の仏画にあり、長い歴史の中で日本独自の発展を遂げ、今日に受け継がれています。
また、掛軸は多様な部位から成り、それぞれの表装技法によって趣が異なります。
このコラムが、日本文化に息づく掛軸の魅力を知るきっかけとなれば幸いです。
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美術品の売却をご検討なさっているお客様や、ご実家のお片付けや相続などでご整理をされているお客様のご相談を賜ります。
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2025年5月27日
掛軸の価格 相場の決定要因を知りたい。掛軸買取コラム7
昭和の時代、日本の家には床の間があり、そこには掛軸が飾られていました。受け継いだ掛軸が、現在も御自宅や御実家に残っているという方も多いのではないでしょうか。
そうした掛軸は簡単に手放せるものではありませんが、一方で「自宅の掛軸は売れるの?」「価格はどれくらい?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、掛軸の買取相場や、価格を決定する要因について分かりやすく説明します。
掛軸の価格 値段
掛軸の価格に影響する4つの要素
掛軸の買取価格は、主に以下の要素によって左右されます。
1. 作家の知名度と人気度
掛軸の価格に最も大きな影響を与えるのが「作家の知名度」です。歴史的に高名な画家や、独自の流派を築いた作家の作品は、特に高値で取引されます。
たとえば、狩野派、与謝蕪村、横山大観など、歴史に名を残す作家の作品は、オークション市場でも非常に高額で取引される傾向にあります。
一方、無名の作家や若手の新進作家の作品は、比較的価格が抑えられますが、将来的な価値上昇が期待できるケースもあります。そのため、市場動向やトレンドを把握することが重要です。
2. 作品の保存コンディション
掛軸は非常にデリケートな美術品であるため、シミ、色褪せ、破れなどの有無が価格に大きく影響します。
特に、画面部分に劣化が見られると、査定額が大幅に下落する可能性があります。一方、コンディションが良好な作品はコレクターの関心を集め、市場価格を上回ることもあります。
売却時の価値を保つため、次の点に留意して保管しましょう。
-
湿度管理を徹底する(防湿剤を利用)
-
直射日光を避ける
-
長期間放置せず、定期的に虫干しを行う
3. 証明書や購入履歴の有無
掛軸の真贋を裏付ける証明書や購入履歴も、査定価格に大きな影響を与えます。
特に著名作家の作品であれば、真作であることを示す書類が重視されます。たとえば、
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作家本人による署名や落款(印)
-
文化財登録や美術館出展歴
-
専門鑑定機関による認定書
これらの証明が揃っている作品は、希少性が認められ、買取額が大幅に上がる可能性が高まります。
4. 海外市場での人気
掛軸の価値は日本国内だけでなく、海外市場でも評価されることがあります。
近年ではアジア文化への関心の高まりから、中国を中心に日本の掛軸が注目を集めています。海外のオークションでは、予想を超える価格で落札される例もあるため、売却を検討する際には海外市場の動きも視野に入れると良いでしょう。
掛軸の価格に影響するその他の要素
前述のポイントに加えて、掛軸の価格に影響する要素は他にも存在します。ここでは、別の観点からさらに掘り下げて解説します。
掛軸のサイズと構成
掛軸の縦横のサイズや仕立ては、査定額に大きな関わりを持ちます。
特に、縦幅や横幅の大きな作品は、制作に多くの労力と材料が必要なため、一般にサイズが大きいほど価格も高くなる傾向があります。
また、表装技術や掛け具(装飾金具や額縁など)の質が高い作品ほど、評価が高まります。
制作にかかる技術と労力
掛軸は単なる絵や書ではなく、仕立てや総合的な完成度にも高い技量が求められる美術品です。
特に、手描きによる一点物と、複製プリント作品とでは、査定額に大きな差が出ます。
さらに、作品に独自性の高い筆致や特殊技法が使われていれば、作家の力量が評価され、高額査定に結びつきやすくなります。
歴史的・文化的背景
掛軸の価格は、その作品が持つ歴史的背景や文化的意義にも強く影響を受けます。
たとえば、特定時代や流派に属する作品は、その時代の美術様式や文化を色濃く反映しているため、コレクターや美術館などから高く評価される傾向があります。
また、掛軸に描かれたテーマが歴史上の事件や文化と結びついている場合は、市場でさらに高い注目を集めるでしょう。
市場の需要と供給バランス
掛軸の相場は、需要と供給のバランスにも左右されます。
とりわけ、オークション市場では、特定の作家や流派、テーマが話題になると、相場が一気に上昇することがあります。
一方、似たような作品が市場に多く出回ると、価格が低迷するリスクもあります。
このように、同じ作家の作品でも、タイミングや市場の人気により価格が変動する点に留意が必要です。
掛軸の価値を見極めるチェックポイント
掛軸を売却する前に、次のポイントを確認することで、より良い条件での取引が目指せます。
-
作家の評価や知名度をリサーチする
-
保存状態を丁寧にチェックする
-
証明書や購入記録の有無を確認する
-
国内外の市場状況をリサーチする
これらを押さえることで、掛軸の評価を引き上げることが可能になります。
まとめ
掛軸の査定価格は、作家の知名度、保存状態、証明書の有無、市場動向など、様々な要因によって左右されます。
この記事が、お手持ちの掛軸の価値を判断する一助になれば幸いです。とはいえ、自己判断が難しいケースもあるでしょう。
そんな場合は、信頼できる買取専門業者に査定を依頼することをおすすめします。市場動向も考慮した上で、適正な価格を提案してくれるはずです。
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2025年5月26日
掛軸の正しい扱い方 大切な掛軸を丁寧に保管するために 掛軸買取コラム6
掛軸は、日本の住居文化において、床の間を飾る重要な役割を担い、四季折々の風景画や花鳥画、茶席に掛ける禅語などを書いたものが、人々の心を豊かにしてきました。
日本の伝統的な習慣であり、季節やお客様に応じて室内の雰囲気を彩ります。しかし、その繊細な素材ゆえに、適切なしまい方をしなければ経年劣化や損傷の原因となります。特に、日本の湿度の高い気候では、湿気やカビ、虫害が大きな課題です。
掛軸に使われる素材は主に絹本と紙本の二種類があります。その他、絹織物の一種である絖本や、麻布、金箔・銀箔などが用いられることもあります。
掛軸の名称
それぞれの特徴を理解し、素材に合った取り扱いを心がけることが、美しい状態を長く保つための第一歩です。
-
絹本: しなやかで光沢があり、細かい彩色時に使用することが多く、優雅な印象を与えますが、湿気や汚れに非常に弱い特徴があります。特に水濡れや摩擦には弱く、シミや色褪せの原因となります。
-
紙本: 丈夫で比較的扱いやすいものの、折れやすく湿気によるシワやカビの発生に注意が必要です。特に、梅雨時期など湿度の高い時期には、カビが発生しやすいため湿度管理が必要です。
このコラムでは、大切な掛軸を正しく保存するための基本的な知識と具体的な手順を詳しく説明します。
掛軸の基本的な収納方法
収納前の準備:広げて確認・埃払い
掛軸をしまう前には、以下の準備を整えましょう。
清潔な畳の上や広めのテーブルに清潔な布を敷き、その上に掛軸を平らに広げ、シワ・汚れ・破損の有無を点検します。
羽箒(はぼうき)や柔らかい毛筆、もしくは清潔なガーゼで、優しく埃を払います。特に軸先(じくさき)や風帯(ふうたい)の付け根部分は念入りに。
汚れやシミを見つけた場合は、無理に除去せず専門家に相談しましょう。
掛軸を取り外す方法
掛軸を取り外す際は、乾燥した晴天の日が理想です。安全に取り扱うためには「矢筈(やはず)」という器具を使用すると良いでしょう。矢筈は掛け緒(かけお)を外すための道具で、掛軸を傷めずに取り外すのに役立ちます。
矢筈を使った手順
-
掛軸の横に矢筈を準備します。
-
片手で掛軸の中央あたりを軽く支えます。
-
もう一方の手で矢筈を持ち、掛け緒に引っかけます。
-
掛け緒を金具から外し、ゆっくりと掛軸を下ろします。
-
矢筈を外します。
矢筈がない場合
両手で掛軸をしっかりと支え、掛け緒が金具から外れないよう気をつけながら、ゆっくり降ろします。
掛軸に無理な力を加えないことが肝心です。
風帯を絡めないように注意しつつ、軽く持ち上げ、ゆっくり巻き取るように外します。引っ張ったり急いだりすると損傷の原因になりますので慎重に行いましょう。
掛軸名称
風帯のたたみ方
風帯は、掛軸の両脇に付いている装飾的な紐ですが、巻いた際には本紙(ほんし)を保護する役目もあります。次のように丁寧にたたみます。
-
両手で風帯を持ち、掛軸に沿って山折り・谷折りを交互に繰り返します。
-
折り目を強くつけすぎず、軽く整えます。
取り扱い時の注意
-
丸めないこと:癖がついてしまい、広げた時に形が整いません。
-
強く折り込まないこと:傷みや裂けの原因になります。
-
引っ張らないこと:付け根が破損する恐れがあります。
-
濡れた手で触らないこと:シミや色変わりの原因になります。
掛軸を巻く際の注意
掛軸を巻くときは、最初の巻き始めが特に重要です。ここでシワや折れができると、後から修正が困難になります。
-
軸先側から、本紙を内側にして巻きます。軸先が丈夫で、支点に向いているためです。
-
中心から外側へ均等に力を加えつつ、力を入れすぎず、優しく巻きます。
-
薄い和紙(たとう紙など)や柔らかい不織布を本紙に沿わせながら巻くとシワを防げます。
-
特に巻き始めは慎重に、ゆっくり作業しましょう。
その他注意事項
-
急いで巻かない。
-
片手だけで巻かない。
-
硬い場所で巻かない。
巻いた後の紐の結び方
掛軸を巻いた後には、真田紐(さなだひも)や組紐(くみひも)などを使って結びます。どの紐を使う場合でも次のポイントを守りましょう。
-
きつく縛らないこと:本紙や軸先に負担がかかり、跡や傷みの原因になります。
-
結び目を一点集中させないこと:負担が特定の箇所にかかるのを防ぎます。
-
異なる種類の紐を結ばないこと:ほどけやすくなる恐れがあります。
-
濡れた手で作業しないこと:紐が湿気を含み、カビの原因になります。
掛軸の保管時に注意すること
湿度管理とカビ予防
湿気は掛軸の最大の敵です。紙や絹の劣化、カビ、シミ、シワの原因になります。
-
保管場所には除湿剤や乾燥剤を置き、湿度50%前後を維持します。
-
桐箱を定期的に開けて空気を通しましょう。
-
湿度計を設置して日々チェックを怠らないことが大切です。
ホコリ対策
掛軸本体だけでなく、桐箱の中も柔らかい布や筆で埃を払いましょう。
特に箱の隅に埃が溜まりやすいので念入りに掃除します。保管場所も定期的に清掃しましょう。
防虫剤の使用方法
掛軸には、和紙用防虫香や白檀など天然の香木がおすすめです。
化学系防虫剤(ナフタリン・パラジクロロベンゼンなど)は避けましょう。
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防虫香は薄紙で包んで桐箱の隅に置き、掛軸には直接触れさせないようにします。
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防虫剤は効果が切れるので、定期的に交換しましょう。
温度管理
理想的な保管温度は15〜25℃。急激な温度変化は、紙や絹の伸縮を引き起こし、劣化の原因になります。
温度変動が少ない環境を選びましょう。
長期保管のためのポイント
桐箱収納のコツ
桐箱は湿気と虫害に強く、掛軸に最適です。
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掛軸をたとう紙で包み、八双側(上部)を奥にして収納します。
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詰め込みすぎず、掛軸に負担をかけないようにします。
桐箱がない場合
防湿性の高い和紙や柔らかい不織布で包み、桐製衣装箱に収納します。ただし桐箱より効果が弱いため、定期的なチェックが必要です。
保管場所の選び方
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北側の部屋(直射日光を避けられる)
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風通しの良い納戸
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マンションの中部屋(温度変動が少ない)
避けるべき場所
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直射日光が当たる場所
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窓際
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暖房・冷房器具の近く
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床下収納や押し入れの下段
保管前の最終確認
虫食い、カビ、シミがないかを再確認。
紐・風帯の整えや巻き方の緩みもチェックし、問題があれば専門家に相談しましょう。
虫干しのやり方:タイミングと注意点
虫干しは、湿気を飛ばし、虫害やカビを防ぐ大事な作業です。
年1〜2回、秋の乾燥した晴れた日に行いましょう。
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直射日光を避け、風通しの良い日陰で半日干します。
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風が強い日は避ける。
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長時間干しすぎないことも大切です。
長期保管中の状態チェック
年に一度は掛軸の状態を点検します。
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シミ・変色がないか
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虫食い跡がないか
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カビが発生していないか
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桐箱内部の湿気がこもっていないか
異常が見つかれば、すぐに専門業者へ相談しましょう。
総まとめ
掛軸は、正しい収納・保管で長く美しい状態を保てます。
湿度管理、虫害対策、埃除去、そして定期点検を心がけましょう。
虫干しや専門修復も活用し、大切な掛軸を後世へ受け継いでください。
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