2025年9月9日
マンガ制作のデジタル化が骨董店に及ぼす影響
ここ数年、骨董的価値の高騰が続いているのがマンガ・アニメの分野です。そして、このジャンルのシンボル的存在といえば、やはり手塚治虫(1928〜1989)でしょう。この記事では手塚治虫の功績と作品の価値、彼が遺したアイテムが高額取引される理由について記載しています。当然のことながら当ギャラリーでの査定・買取も行っておりますので、何かございましたら遠慮なくご相談くださいませ。
■マンガの神様と呼ばれる理由
日本には世界に誇れる産業がいくつかありますが、そのうちの一つに「マンガ」があります。練り込まれたストーリー展開、緻密な作画、感情移入しやすいキャラクターが世界的な人気を呼び、米国でもスパイダーマンやバットマンなどの国民的コミックが勢いを失い、代わりに「鬼滅の刃」や「NARUTO」で棚が埋め尽くされている書店も多いそうです。
何故、この日本ならではともいえる独特のマンガ文化が生まれ育ったのか。確かに、日本には平安時代の鳥獣戯画絵巻や江戸時代の浮世絵など、もともとコミカルなタッチで物語性をもつ絵画を好む土壌がありました。20世紀に入ってからも新聞漫画や幼年・少年漫画などが盛んに描かれますが、同様にアメリカやフランスでもコミックの文化・産業が発展していたはずです。日本がここまでのマンガ大国になったのは、やはり手塚治虫の登場が大きかったのではないか。彼がいなかったらここまでの巨大産業には育っていなかったとする推論は間違っていないように感じます。
さまざまな革新を起こしたとされる手塚治虫ですが、実際には彼が用いた技法や表現手法のほとんどは彼のデビュー前に確立していたといいます。では同時期の他の作家と何が違ったのかというと、シンプルに「読者が夢中になる作品をつくり続けた」という点だったのではないでしょうか。時間を忘れて読み耽り、「こんな面白いものを自分も描いてみたい」と思わせる。この力こそが石ノ森章太郎や藤子不二雄、赤塚不二夫を生みだし、大友克洋、鳥山明、高橋留美子、尾田栄一郎へとつながっていった。科学的なエビデンスはありませんが、ありそうな説ではありませんか。
■さらに高まる「手書きの価値」
手塚治虫は兵庫県宝塚市生まれ。医学博士でありながら、鉄腕アトムやジャングル大帝、火の鳥、ブラックジャックなど今も読み継がれる傑作を立て続けに生み出したことはご承知の通り。驚くのは彼のマンガを描くスピードの速さです。なんと全盛期で月に600ページの原稿を描いたというのです。丸1ヶ月休まずに働き続けたとして、1日に20ページを書いていた計算になります。恐ろしいですね。60年という短い生涯であったにもかかわらず、700を超える大量の作品を鑑賞できるのは、彼のこの人並外れた仕事量のおかげです。同様にアニメーションの分野でも国内のパイオニア的存在として、後進の宮崎駿や富野由悠季、出﨑統などの作家に大きな影響を与えました。
近年、日本のマンガ・アニメの人気が高まるにつれ、関連アイテムの骨董的価値・美術的価値が世界的に高まっています。特に生原稿やセル画、直筆の色紙などは人気が高く、現在でもかなりの高額で取引されていますが、今後さらに価値は高まっていくと見込まれています。
かつてのマンガやアニメはアナログな工程で制作されてきました。しかし現在は作業のほぼすべてがデジタルに置き換えられており、手書き原稿やセル画は消えゆく運命にあります。そういった意味でも、作家の息づかいを感じることのできる手書きのアイテムは、歴史的物証として今後さらに価値をもつようになっていくはずです。
先日買取をさせていただいた手塚治虫「アトム十万馬力」ピエゾグラフキャンバス仕様
手塚治虫もそれ以外も 骨董・アートの高価買取は北岡技芳堂へ
北岡技芳堂では骨董品の他にも絵画や茶道具、貴金属、趣味のコレクションなど、さまざまなジャンルの品物を買受しております。ここ名古屋の地で長年にわたり取引を重ねてきた実績をベースに、多種多様なニーズに対応できる販売チャネルをもつため、あらゆる骨董品の高価買取を実現しています。
ご実家の片付けや相続などの際、手持ちの骨董品について「どうしたら良いか分からない」という方も多くいらっしゃると思います。どのような品物でも、どのようなことでも構いません。私たち北岡技芳堂にお任せください。出張買取も実施しています。愛知県、三重県、岐阜県、静岡県その他の県へも出張させて頂きます。まずは、お電話にてお気軽にお問い合わせください。
記事監修:北岡淳(北岡技芳堂 代表)
初代である祖父が掛け軸の表具師を生業としており、幼い頃から美術品や骨董品に親しむ。その後京都での修行を経て、3代目として北岡技芳堂を継承。2006年に名古屋大須にギャラリーを構え、幅広い骨董品や美術品を取り扱いながらその鑑定眼を磨いてきた
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