2026年2月27日
多良間島の黒糖は、日常を鍛える「本物の甘み」 〜北岡技芳堂・鑑定人の骨董品コラム〜
こんにちは。北岡技芳堂代表、鑑定人の北岡淳です。
骨董の世界に身を置いていると、「本当に良いもの」とは何かを日々問い続けることになります。古陶磁であれ、漆器であれ、書画であれ、時代を超えて残るものには必ず理由があるからです。今日はそんな「本物」という視点から、私が最近気になっている甘味――多良間島の黒糖についてお話ししたいと思います。数ある黒糖の中で最も栄養価が高く、最近の研究ではがんの抑制効果も明らかになりました。奄美・沖縄における長寿の秘訣の一つと目されるなど、健康面でのメリットは数多くあります。しかし私が鑑定のプロとしてこの黒糖を選ぶ理由が、実は他にあるのです。ご興味のある方は、少しの間お付き合いください。
多良間島の黒糖とは何か
多良間島は、沖縄県宮古島と石垣島のほぼ中間に位置する人口わずか約1,000人の小島です。宮古空港から小型飛行機で飛ぶか、平良港からフェリーでアクセスしなければ辿り着けませんが、「日本で最も美しい村」に認定された集落と美しい珊瑚礁が魅力です。
今回のテーマは、この島でつくられる「黒糖」です。白砂糖のような精製糖と異なり、サトウキビの搾り汁をそのまま煮詰め、濾過・濃縮して固めた純度の高い自然な砂糖、それが黒糖です。精製しないためカルシウム、鉄、カリウムなどのミネラルやビタミンが豊富に含まれ、特有の深いコクと甘みが特徴です。
数千年前の先史時代から人が住んでいたとされる多良間島。そして黒糖づくりは、今から390年ほど前(1620年頃)、中国からサトウキビとともにその製法が沖縄に伝わったことがきっかけで始まりました。琉球石灰岩からできた平坦な土壌を持つ多良間島は、サトウキビ栽培に適していたこともあって、それ以来、黒糖づくりは人々の暮らしの一部となっています。
サトウキビ畑が多良間島の中央に位置していることもあり、塩気(えぐみ)が少なく甘みが強いことが特徴です。沖縄はサトウキビ栽培が盛んなのですが、他の島でつくられた黒糖を食べてみると、びっくりするくらい味が違うんですよ。多良間の黒糖はクセが少なく子どもから大人まで好まれる味であるため、そのままおやつとして食べるのはもちろん、さーたーあんだぎーや蒸しパンなどの和菓子、コーヒー・紅茶の甘味に最適とされています。

多良間島 黒砂糖
健康志向の高まりとともに、注目が集まる「黒糖」
黒糖には以下のような特性があると紹介されています。
・ミネラル補給(鉄・カルシウム・マグネシウムなど)
・血糖値の急上昇を抑える働き
・ナトリウム排出を助けるカリウム作用
・ビタミンB群によるエネルギー代謝促進
・抗酸化成分
黒糖成分のビタミンB1は糖質をエネルギーへと変換する働きを助け、ミネラル群は体内バランスを整える役割を果たします。2023年に発表された鹿児島県奄美大島の住民を対象とした大規模追跡研究では、黒糖を日常的に摂取している人々で、がん発症リスクの低下が示唆されたとの報告もあります。
これに対し、いわゆる白砂糖は精製過程でミネラルやビタミンが除去され、純度の高い「ショ糖」になるため、代謝時に身体へ負担をかける点などがリスクに挙げられています。健康志向が高まる昨今、黒糖に注目が集まっているのはこうした理由からなのです。
もちろん、どんな食品も万能ではありません。しかし、少なくとも白砂糖より体に優しい甘味であることは、データからも裏付けられています。最近は「甘いもの=悪」という単純な図式で語られることが多いですが、そんなことはありません。きちんとした質のものを選ぶことが重要なのだと感じています。
私が多良間島の黒糖を好む理由
近ごろは休憩時などに多良間島の黒糖をぽりぽりとかじっています。理由はシンプルで、「本当に良いものだから」。私はふだん鑑定人として微細な違いを見抜く仕事をしていますが、本物と贋作の差は紙一重のようでいて、実は決定的です。
多良間の黒糖を口に含むと、ただ甘いだけでなく、なんというか味に奥行きを感じます。最初は穏やかで、次第にコクが広がり、最後にほのかな塩味が舌に残る。これは、精製された単調な甘さとは明らかに異なります。骨董の世界でも同じです。真に優れた作品は、表面的な華やかさではなく、長い時代を生き抜いてきた深みを湛えています。多良間の黒糖の味わいには、こうした骨董品に通じるものがあるように感じるのです。
もちろん、健康面への配慮もありますよ。かつての世界一の長寿県、沖縄県民の長寿のもとの一つともいわれています(近年は食の欧米化に伴い長寿ランキングも下降気味ですが・・・)。疲労回復や腸内環境の改善に役立つとも聞いていますし、美味しい上に健康にも良いなんて、これ以上ない魅力といえるでしょう。
良いものを見分けるには、良いものに触れ続けること
鑑定力は一朝一夕では身につきません。日々、良質なものに触れ、自らの感覚を鍛え続けること。これは料理でも工芸でも同じです。例えば、精製した砂糖の単調な甘さに慣れてしまうと、黒糖の複雑な味わいを「クセがある」と感じてしまうかもしれません。しかし、日常の中で自然の甘味に親しんでいると、逆に人工的な甘さにすぐ違和感を覚えるようになります。
鑑定も同じです。普段から一流に触れていなければ、贋作の粗さに気づくことは難しい。だから私は、日常の中でも「本物」を選びたいのです。多良間島の黒糖は、私にとって舌を鍛える小さな修行のような存在でもあります。
鑑定人:北岡淳(北岡技芳堂 代表)
初代である祖父が掛け軸の表具師を生業としており、幼い頃から美術品や骨董品に親しむ。その後京都での修行を経て、3代目として北岡技芳堂を継承。2006年に名古屋大須にギャラリーを構え、幅広い骨董品や美術品を取り扱いながらその鑑定眼を磨いてきた。
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まずは、お電話にてお気軽にお問い合わせくださいませ。
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