2013年4月19日

室町末期 不動明王二童子像

人間界と仏界を隔てる天界の火生三昧。人間界の煩悩や欲望が天界に波及しないよう烈火で焼き尽くす世界とよばれる炎の世界に住している。

怒りによって逆巻く髪は活動に支障のないよう弁髪でまとめ上げ、法具は極力付けず軽装で、法衣は片袖を破って結んでいる。その装束は古代インドの奴隷ないし従者の姿を基にしたものとされ、修行者に付き従いこれを守る存在であることを表している。右手に降魔の三鈷剣(魔を退散させると同時に人々の煩悩や因縁を断ち切る)、左手に羂索(けんじゃく。悪を縛り上げ、また煩悩から抜け出せない人々を縛ってでも救い上げるための投げ縄のようなもの)を握りしめ、背に迦楼羅焔(かるらえん。迦楼羅の形をした炎)を背負い、憤怒の相で岩を組み合わせた瑟瑟座(しつしつざ)か、粗岩(岩座ともいい、仏典では「磐石」[ばんじゃく]という。「金剛石」とあるのでダイヤモンドの原石である)の上に座して「一切の人々を救うまではここを動かじ」と決意する姿が一般的である(日本では坐像の他、立像も数多く存在している)。以下に典型的な像の形を示す。

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