2013年1月11日
伏屋地蔵 宝蔵院の書院にて横山大観を眺める
書院の床間に掛っておりますのは近代日本画家の巨匠、横山大観の水墨山水です。
画題は、『月満湖』横山大観の晩年の枯れた味わいの風景画でございます。
心象風景...
大観の理想境が描かれており、実際には存在しない風景ではございますが、心地の良い郷愁と格調の高い精神性を感じます。
戦中戦後の画家であった大観は岡倉天心の意志を引き継ぎ、日本を背負うような気持ちで描き続けてきました。
大観の描いた水墨画は生涯何十年もの間、厳しく十年、又十年と研鑽して山水画を描き続けてこられたので現代画家がちょっとやそっと頑張ったぐらいでは到底かなわない域に達しているのです。
右から眺めたり、左から眺めたり、後ろに下がったりと見える景色が微妙に違って視えるのは水墨画に自分の一生をかけて描き続けた計算し尽くされた境地からくるものでしょう。
この大観の描いた水墨山水を書院で眺めておりますと邪気が祓われ、姿勢が正される緊張感と静寂を感じます。