2017年6月9日
元永定正 うすむらさきのなかの 入荷いたしました。
元永定正
うすむらさきのなかの
1975年
4号
アクリルカラー/カンバス
モトナガ資料研究室 鑑定書付
具体美術協会の元永定正の作品が入荷いたしました。
元永定正は、具体美術協会のメンバーの一人です。
具体は、戦後の高度経済成長期、リーダーの吉原治良の「今までにないものをつくれ」という指導のもと、ユニークな活動を展開した前衛美術グループ。
彼らは近年、再び世界的に注目を集めております。
10代の頃、漫画家を志していた元永は、郷里の三重在住の画家に師事して油彩画を学びました。
1955年、吉原治良との出会いを機に具体に参加し、抽象画制作とともに水を使った立体作品や煙によるパフォーマンスを発表して注目を集めます。
1966年、ジャパン・ソサエティの招聘によりニューヨークでの制作の機会を得ると、ユーモラスな造形と鮮やかな色彩による抽象絵画を展開。そのほかにもインスタレーションやパブリックアート、絵本など、多岐にわたる創作活動で国内外から高く評価されました。
元永定正の作品は、何が描いてあるのかわからないと多くの方が思っているのではないでしょうか。
元永定正は、鑑賞者が「自由に作品を観て楽しみ、そこに美を見出す」ことは、元永が自作に求めたものです。すなわち、作品は「美のかたちは無限に存在し、新しいもの、新しい美を生み出す力が人間には備わっている」という元永の思想を映し出したものとも言えるでしょう。
具体のテーマだった「新しい美」の追求は、解散後も元永自身のテーマとして作品に表現されていったことがわかります。