2026年2月16日

堆朱(ついしゅ)とは? 歴史・技法・産地・買取相場まで鑑定人が徹底解説

こんにちは。北岡技芳堂・鑑定人の北岡です。

堆朱(ついしゅ)とは、朱色の漆を数十回から数百回塗り重ね、その厚い漆層を彫刻して文様を浮き彫りにする、中国起源の高度な漆工芸技法です。深みのある朱色と立体的な彫刻美は、古代より王侯貴族に愛され、日本では独自の進化を遂げてきました。

本記事では、

◎堆朱の歴史

◎中国産と日本産の違い

◎製作工程と技法

◎主要産地

◎買取市場で高値がつく条件

までを、骨董市場の実務経験をもとに鑑定人の視点で詳しく解説します。堆朱作品の売却や査定をご検討の方は、ぜひ参考になさってください。

 

 

 茘枝堆朱香合 明時代・15~16世紀

 茘枝堆朱香合 中国 明時代・15~16世紀

 

■堆朱の歴史|中国で誕生し日本へ伝わった彫漆文化

堆朱は彫漆(漆を塗り重ねて彫る技法)の一種で、唐代(618年〜 907年)の中国で生まれました。20世紀初頭、英国の探検家であるマーク・オーレル・スタイン(1862〜1943年)が新疆ウイグル自治区で発見した「革製鎧小札」(大英博物館蔵)が最古の彫漆とされています。これは8世紀から9世紀頃のものと推定され、彫漆文化の最初期の姿を知ることができる貴重な歴史的資料となっています。

彫漆の中で、朱色の漆を塗り重ねたものを指す「堆朱」が本格的に発展し始めるのは宋代(960年〜1279年)の頃から。その後、元の時代には張成、楊茂、周明という名工が現れ、この三人を特に「堆朱三作」と呼びます。ちなみに張成による「牡丹文堆朱香合」という14世紀頃の作品が、愛知県名古屋市にある徳川美術館に所蔵されています。展示の際にはぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

時代が移り変わっても堆朱の人気は衰えず、清代(1616〜1912年)には「はしか彫」と呼ばれる高度な彫刻技法も完成。これは厚みのある漆層に、麦などの殻の先端にある「はしか(芒)」のように極めて緻密な線や彫りを施す技法で、近代になるにつれ技巧的な傾向を強めながら、高い芸術的価値をもつ作品が生み出されていくことになります。

日本に堆朱が伝わったのは平安時代。当初は「唐物」として寺院や貴族・武家の間で珍重されましたが、室町時代に入ると国内でも本格的な堆朱づくりが始まります。堆朱楊成(ついしゅようぜい)のような専門職人が誕生し、足利将軍家や禅寺の需要に応えて精巧な作品を生み出し始めたのです。この頃につくられた「松竹梅堆朱盆」などの作品は、文化遺産として東京国立博物館などに収蔵されています。ちなみに堆朱楊成は世襲を繰り返し、当時の彫漆技法を現代まで受け継いでいるんですよ。

また、今に伝わる新潟県の伝統的工芸品「村上木彫堆朱」も、室町時代に京都の彫漆技法が新潟県村上市に伝わったことが源流とされています。江戸時代中期に武士の間で趣味・余技として堆朱が広まり、村上藩主の奨励などもあって町民にまで広く伝わり盛んになりました。昭和51年には経済産業大臣(当時通商産業大臣)から国の「伝統的工芸品」の指定を受けるなど、日本を代表する工芸品の一つとなっています。

 

■堆朱の特徴|厚い漆層が生む立体美

彫漆(ちょうしつ)とは、器物の表面に漆を何層にも塗り重ね、その漆の層を刃物で彫ってレリーフ状に文様を表す漆工技法の総称で、堆朱は鉱物の辰砂(しんしゃ)を混ぜて朱色にした漆を使うものを指します。重厚で深みのある色合いと漆の耐久性から、香合や棗(なつめ)などの茶道具、盆、お皿、硯箱、小物入れ、座卓などに幅広く用いられています。使い込むほど艶と深みが増すことから、贈答品としても重宝されている工芸品です。

似た工芸である鎌倉彫や根来(ねごろ)とは構造が異なり、

鎌倉彫:木地を彫った上に漆塗り

根来:朱漆と黒漆の塗り重ね

堆朱:漆層そのものを彫刻

という明確な違いがあります。

堆朱は一度に厚塗りすると乾燥不良や下地からの剥離を起こすため、極薄塗りを何百回も繰り返す高度な技術が必要です。ちなみに漆の色が黒いものを「堆黒(ついこく)」、黄色いものは「堆黄(ついおう)」と呼ばれます。

 

<中国の堆朱の特徴>

中国では「剔紅(てっこう)」と呼ばれ、肉厚な漆層を深彫りする豪華な作風が主流です。鳳凰・龍・山水・花卉といった吉祥文様が多く、漆層の厚さは価値判断の重要要素となります。

 

<日本の堆朱の特徴>

中国の堆朱が分厚い漆の塊を彫り込むのに対し、日本では比較的浅めの漆層を生かした繊細な彫刻が中心。明るい朱色と柔らかな意匠が特徴で、花鳥・流水・扇など和のモチーフが多く用いられます。

 

 

茘枝堆朱盆 明  中国 明時代 16世紀

茘枝堆朱盆 明  中国 明時代 16世紀

 

<工程:漆を立体的に彫り上げる高度な職人技>

◎木地づくり:土台となる木材を加工する工程です。一般的にはケヤキやヒノキが使われます。

◎下地処理:木地に布を貼ったり、漆に土を混ぜたものを塗って研磨したりしながら、丈夫で滑らかなベースをつくります。

◎塗り重ね:朱色の漆を、髪の毛一本程度の薄さで何層も塗り重ねていきます。一層塗るごとに数日間乾燥させながら、数十層を塗るのに約1ヶ月、数百層ともなると1〜2年という気の遠くなるような時間がかかる堆朱の最重要工程です。

◎彫刻:漆が十分に乾燥・硬化して厚みをもつ層ができたら、刃物を用いて直接模様を彫刻。層の厚みを利用して立体的なレリーフに仕上げます。

◎仕上げ・磨き:彫刻後、表面を磨き上げて艶を出したら完成です。

 

<国内の主な産地>

◎新潟県村上市(村上木彫堆朱):日本で最も有名かつ代表的な産地。木地に彫刻を施し、その上に漆を塗り重ねる「木彫(きぼり)堆朱」で知られています。

◎宮城県仙台市(仙台堆朱):江戸時代から続く伝統的な漆工芸で、型押しした素地や木地に朱色を塗り重ね、黒で古色を入れる技法でつくられます。

◎京都府(京堆朱):江戸時代以降につくられるようになった堆朱。余白を生かした京都らしい意匠感覚と、工芸的洗練が加わっている点が特徴です。

◎石川県輪島市(輪島塗堆朱):伝統的な技法である輪島塗を用いてつくられる堆朱。金粉と銀粉を用いた蒔絵技法との組み合わせによる華やかな装飾も魅力です。

 

■堆朱の買取相場と高値がつく作品の特徴

堆朱の買取相場は、時代ものや著名作家の作品であれば数十万円〜数百万円、一般的な香合や盆で数万円〜10万円前後、量産品は数千円〜数万円と幅広いです。特に層が厚く精巧な彫り、箱付きの古作は高価買取の対象となります。中でも中国の古いもの、特に明代のものは希少価値が高く、高額になるケースが多いです。

<高価買取のポイント>

◎年代が古いもの:中国の宋〜明代につくられた作品

◎名工・著名作家の作品:歴代の堆朱楊成や石井磬堂、音丸耕堂などの手によるもの

◎品質・状態が良いもの:漆層が厚く、彫りが深く鮮明なもの。ひび割れや欠けがないもの

◎付属品が揃っているもの:共箱(作者名がある箱)や鑑定書がある場合

産地も工法も年代もバリエーション豊かな堆朱の査定は、経験豊かな当ギャラリーの鑑定人にお任せください。これまでに国内外の工芸品・美術品を多数鑑定してきた私が丁寧に査定いたします。

 

◎鑑定人プロフィール

北岡淳(北岡技芳堂 代表)

初代である祖父は掛け軸の表具師を生業としていたため、幼い頃から美術品や骨董品に親しむ。その後京都での修行を経て、3代目として北岡技芳堂を継承。2006年に名古屋大須にギャラリーを構え、幅広い骨董品や美術品を取り扱いながらその鑑定眼を磨いてきた。

 

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弊店は販売をする店舗だからこそあらゆる骨董品が高価買取を可能にします。

 

美術品の売却をご検討なさっているお客様や、ご実家のお片付けや相続などでご整理をされているお客様のご相談を賜ります。

 

どうしたら良いか分からなかったり、ご売却を迷われている方がが多いと思いますが、どのようなことでも北岡技芳堂にお任せください。

 

裁判所にも有効な書類を作成させていただく事も出来ます。

 

北岡技芳堂では骨董品の他にも、絵画や貴金属、宝石、趣味のコレクションなど様々なジャンルのものを買受しております。

 

出張買取も行っております。愛知県、三重県、岐阜県、静岡県その他の県へも出張させていただきます。

 

まずは、お電話にてお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

骨董品の買取【北岡技芳堂 名古屋店】

 

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