2025年12月11日
希少な血赤珊瑚の査定・買取は、北岡技芳堂にお任せください!
こんにちは。北岡技芳堂・鑑定人の北岡です。海に生息する珊瑚は、クラゲやイソギンチャクと同じ刺胞動物門に属するれっきとした生物ですが、このうち硬い骨格を持つものを特に「宝石珊瑚」と呼びます。そしてこの宝石珊瑚の中で、世界で最も美しいと評されているのが、今回ご紹介する「血赤珊瑚(チアカサンゴ)」です。
宝飾品や美術工芸品などさまざまな形に加工される血赤珊瑚は、その希少性ゆえに多くの偽物が出回っていることもあり、真贋の見極めが難しい宝石です。もし、血赤珊瑚の査定をお考えの方がいらっしゃいましたら、当ギャラリーにご相談いただくと安心です。あらゆるジャンルの骨董品・宝飾品に精通した鑑定人である私が責任を持って査定いたします。
歴史や特徴、どのようなものに価値があるのか、血赤珊瑚の概要について下記でご説明させていただきました。査定・処分をお考えの方の一助となれば幸いです。

<歴史>古代より愛された珊瑚。日本産は意外にも明治から
珊瑚は古くから希少な素材として、さまざまな形に加工され活用されてきました。日本と同じく世界的な産地として知られる地中海では、およそ2万5000年前から装飾品として使われてきたそうです。古代ギリシャやローマでは幸運のお守りとして珍重され、交易品としても人気を呼びました。奈良時代にはシルクロードを通じて日本にも伝わり、聖武天皇の冠に用いられたという記録が残っています。珊瑚で飾られた冠は、現在も正倉院に保管されているとのことです。
江戸時代にはかんざしや根付けの素材として人気を集めましたが、基本的にすべて地中海産のものでした。長く高価な舶来品として富裕層に好まれた珊瑚が、国内の海でも採れるようになるのは明治時代に入ってから。1800年代後半に高知県沖での珊瑚漁が始まり、日本の近海で良質な宝石珊瑚が採れることがわかりました。
もともと地中海産の赤い珊瑚は「胡渡り珊瑚(こわたりサンゴ)」と呼ばれて珍重されてきましたが、高知産の赤い珊瑚は地中海産にはない魅惑的な深い赤色から「血赤珊瑚」と呼ばれるようになり、最高品質の宝石珊瑚として世界的な人気を集めるようになります。
19世紀の終わり頃からロンドン市場に日本産の高品質な珊瑚が出回るようになると、海外のバイヤーたちが買い付けのために日本を訪問するようになりました。そのため高知県は世界屈指の珊瑚の産地として知られるようになり、血赤珊瑚は真珠と並ぶ日本の特産品にとして人気を博します。江戸時代に発達した高い加工技術も、海外での人気を後押ししたようです。
現在も血赤珊瑚は国内よりも海外での人気が高く、生産される原石の多くが中国や香港などの海外に輸出されています。その一方で近年は乱獲が進み、漁獲量に制限が設けられるなど保護の動きも高まり、その希少性は年々高まっています。
<特徴>日本でしか採れない世界最高峰の血赤珊瑚
宝石珊瑚は水深100m以上の深海に生息し、珊瑚礁をつくる浅瀬に棲む造礁珊瑚とは別の種類です。熱帯魚などが棲家にする造礁珊瑚に比べ宝石珊瑚は硬く、モース硬度は3.5程度。人間の歯と同じくらいの硬さです。成長速度が遅いことでも知られ、1年間に0.3mm程度しか成長しません。宝石珊瑚が人の小指程度の大きさになるまでには40〜70年ほどかかり採取量に限界があることからも、希少な素材であることがお分かりいただけるかと思います。
主な種類に赤珊瑚、桃色珊瑚、白珊瑚、黒珊瑚などがあり、血赤珊瑚は赤珊瑚の一種です。その名の通り血のような深みのある赤色が特徴で、宝石珊瑚の中でも特に価値があるとされています。血赤珊瑚の学術名であるコラリウムジャポニカム(Corallium japonicum)は日本固有のものであることを表し、高知県沖や小笠原諸島周辺、五島列島近海、沖縄・奄美・宮古島周辺で採取されています。同じ赤色の宝石であるルビーの最高峰をピジョンブラッド(鳩の血)と呼びますが、赤珊瑚の最高峰である日本産の血赤珊瑚はオックスブラッド(雄牛の血)と称され、海外市場においては主要産地である高知県にちなみTOSA(土佐)の名前で取引されています。
さまざまな形に加工されて市場に出回る血赤珊瑚製品の中には精緻な加工が施されたものもあり、神秘的な赤色と相まって独特な美しさが人気を呼んでいます。硬く加工がしにくいことから熟練を要し、血赤珊瑚を専門とする工芸作家も多く生まれています。

<価値>世界的な需要の高まりで取引価格が高騰中
近年は血赤珊瑚の採取量が減少しており、もともと希少な宝石がさらにプレミアム化しています。この価格高騰に拍車をかけているのが、海外での需要の高まりです。中国をはじめとしたアジアの富裕層からの人気が高く、血赤珊瑚を求め日本に渡航する方も多いのだとか。
指輪やブローチ、帯留などの装飾品から珊瑚樹などの置物、漆工芸品の蒔絵装飾、仏像などの美術工芸品まで用途は多岐にわたりますが、サイズが大きなものや精緻な彫刻が施されているものは特に高額で取引されています。宝石珊瑚の中では血赤珊瑚が最も価値があり、ピンク、白と色味が薄くなるにつれ価値は下がっていきます。
高級素材の宿命として、偽物が多く出回っていることに注意が必要です。模造品の種類も多種多様で、パッと見て真贋を見極めるのは非常に困難です。もしお手元の血赤珊瑚の本当の値打ちを知りたいというお客様がいらっしゃいましたら、ぜひ当ギャラリーにご相談ください。経験豊かな鑑定人である私が、責任を持って見させていただきます。
◎鑑定人プロフィール
北岡淳(北岡技芳堂 代表)
初代である祖父が掛け軸の表具師を生業としており、幼い頃から美術品や骨董品に親しむ。その後京都での修行を経て、3代目として北岡技芳堂を継承。2006年に名古屋大須にギャラリーを構え、幅広い骨董品や美術品を取り扱いながらその鑑定眼を磨いてきた
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