2025年11月18日

モダンな「滝」が、日本画の未来を切り拓く 〜北岡技芳堂の骨董品買取りブログ〜

雄大で繊細、幻想的な滝の絵画で世界的に知られる日本人アーティストが、千住博(1958〜)です。ニューヨークを拠点に活動を続ける日本画家で、長いキャリアの中で片時も絵筆を休ませることなく、現在の世界的な評価を得るに至りました。今回のブログでは彼の略歴と作品の特徴、市場の評価などについてご紹介しています。千住博に興味をお持ちの方、作品を手元にお持ちの方に、ぜひご一読いただきたいと思います。

 

 

千住博 ウオーターフォール

千住博 ウオーターフォール

 

■岩絵具との出会いが人生を変えた

千住博は1958年、東京都杉並区に生まれます。父は工学博士の千住鎮雄、母は教育評論家・エッセイストの千住文子、弟は作曲家の千住明、妹はバイオリニストの千住真理子という学術・芸術に秀でたファミリーの一員として育ちました。2歳からバイオリンを始めるなど、美術より早く音楽に触れた彼でしたが、同じ頃から自宅の壁や襖、テーブルなど至る所に落書きを繰り返していたそう。しかし、父である鎮雄は「おそるべき集中力をもっている。放っておこう。一度集中したことのある子は興味の対象がかわっても集中できる。描くなら徹底的に描け」と描くに任せました。母・文子は「あの時、私たちが叱っていたら取り返しがつかないことになっていたかも」と笑います。

その後もバイオリンは続け、絵を描くことも変わらず好きでしたが、「これ」というものが見つからないまま高校生に。そして高校2年生の時に訪れた日本画のグループ展で、岩絵具と出会います。岩絵具の重みのある質感と美しさに感激し「一生触っていたい」と思えるほど惹かれた博は、1978年、東京藝術大学に進み美術学部絵画科で日本画を専攻します。卒業後は修士課程、博士課程に進み、それぞれの卒業制作が大学の買い上げとなるほど高い評価を受け、日本画家として生きていく覚悟を固めました。

その後も精力的に創作活動に打ち込みましたが、画業一本では苦しく、予備校の講師を務めたこともあったそうです。そんな彼に1993年、大きな転機が訪れます。それがハワイの溶岩でできた海岸を描いた「フラットウォーター」の発表です。この大作を含む16点を展示した個展「Flat water」を、ニューヨークのマックスウェルデビットソンギャラリーで開催。これが好評を博し、現地の美術誌「ギャラリーガイド」の表紙に選ばれるなど注目を集めました。その後、1995年の「滝(The fall)」のヴェネツィア・ビエンナーレ名誉賞受賞や、1997年の京都・大徳寺聚光院の襖絵の制作など、話題となる仕事を次々手がけます。2000年代に入ってからも国境を超えた快進撃は止まらず、2002年には第13回MOA岡田茂吉賞の絵画部門大賞をはじめ、2003年のグランドハイアット東京の幅25mに及ぶ巨大壁画の完成、2005年のミラノサローネ参加、2006年のフィラデルフィア松風荘の襖絵など精力的に活動を続け、2011年には軽井沢千住博美術館がオープン。2020年には和歌山県・高野山金剛峯寺の襖絵「瀧図」で、第77回の恩賜賞・日本芸術院賞を受賞しています。「いい作品を描くには量が大切」だと語る彼は一時も筆を休めることなく、あくまで日本画に軸足を置きながら、現代アートの旗手として今もさまざまな試みにチャレンジしています。

 

千住博 湖畔の幻想

千住博 湖畔幻想

 

 

■伝統的な美意識と現代的感性の融合

千住博は日本の伝統的な美意識と現代的な感性を併せ持ち、それらを両立させることに成功した日本画家と評されています。天然鉱物を砕いて粉末にした岩絵具や和紙、墨などの伝統的な画材と技法を用いて、滝などの自然や動物、光、水といった普遍性をもつモチーフを描くのですが、一見しただけではこうした伝統的な手法で描かれたとは思えないほどモダンな作風で世界中の美術愛好家を魅了しています。

千住博の特徴の一つに、新しい表現手法を積極的に取り入れるスタイルがあります。滝を描いた代表作の一つ「ウォーターフォール」では、先に塗った岩絵具が乾かないうちに別の色を流して滲ませる「たらしこみ」や、画面の上から絵の具を重力の力で垂らし流す技法、しぶきを描くために絵の具をスプレーガンで霧状に吹き付ける技法など、滝が自然の力で流れ落ちる様子を捉えるために、さまざまな試みを取り入れました。

一方、同様に滝を描いた「メタルフォール」と呼ばれる作品では、和紙ではなくステンレススチールにエッチングやアクアチントといった版画技法で絵柄を刻み、高温の炉で顔料を焼き付けるというオリジナルな手法で描かれています。日本画的モチーフである滝の激しさ、静寂さを見たことのない表現で捉えており、まさに日本的美意識と現代アートの融合に成功した作品です。

その他、寺院や空港、駅、ホテルなどの公共空間を舞台にしたパブリックアートも多数発表しています。大徳寺聚光院や高野山金剛寺の襖絵、グランドハイアット東京の横幅25メートルの壁画、直島の民家を改装した「空の庭」、羽田空港国際線ターミナルの「ウォーターシュライン」など、あげればキリがないほどです。自らの作品を展示する軽井沢千住博美術館では作品展示を空間の一部として捉える設計手法を採用するなど、大規模なプロジェクトや展示会においてはインスタレーション的な視点も持ち合わせています。このあたりも現代アーティスト的な側面といえるかもしれません。

彼の「デジタル社会に抗して、いずれアナログ革命が起こると思います。具体的にいえば、ぬくもり、手触り、試行錯誤、意外性、即興性といった点です。これらはデジタルでは実現が難しい。春夏秋冬それぞれの季節を味わい、そのすべてに感動する。季節のプロセスを現在形で味わう。それが日本の文化です。お茶もそうだし、生け花もそう。究極が一期一会ですね。二度と来ないこの瞬間を楽しみ、しかも充実している。それが生きることの喜びであり、私の作品づくりの根源にあります」などの言葉からは、人が手によって織りなす工程そのものに美意識を感じ取っているように思えます。こうしたデジタル世代に生きる日本人アーティストならではといえる感性も、現代のマーケットに受け入れられている要因の一つといえるのではないでしょうか。

 

■作品の価値は?

これまでに1万点以上の作品を手がけた千住博。リトグラフ、シルクスクリーン、エッチング、アクアチント等の版画作品は割と数も多く出回り、数万円〜100万円といった価格で取引されています。しかし本画となれば話は別です。およそ200万円〜700万円の価格帯がメインとなり、代表作「ウォーターフォール」ともなれば1,500万円以上の値がつくものも。「ウォーターフォール」について付け加えると、色がついたものよりも白い滝の方が高値のつく傾向にあります。国際的に高い人気を誇る作家ですので、大きなものも小さなものも高額で取引されています。作品をお持ちの方の中には、現在の価値が気になる方もいらっしゃるでしょう。査定だけでも結構ですので、ぜひ一度当ギャラリーにご相談いただければと思います。日々変化し続ける美術品市場に即した価格をご提示させていただきます。

 

■千住博の作品もそれ以外も 骨董・アートの高価買取は北岡技芳堂へ

北岡技芳堂では現代アートの他にも骨董品や絵画、茶道具、貴金属、趣味のコレクションなど、さまざまなジャンルの品物を買受しております。ここ名古屋の地で長年にわたり取引を重ねてきた実績をベースに、多種多様なニーズに対応できる販売チャネルをもつため、あらゆる骨董品の高価買取を実現しています。

ご実家の片付けや相続などの際、手持ちの骨董品について「どうしたら良いか分からない」という方も多くいらっしゃると思います。どのような品物でも、どのようなことでも構いません。私たち北岡技芳堂にお任せください。出張買取も実施しています。愛知県、三重県、岐阜県、静岡県その他の県へも出張させて頂きます。まずは、お電話にてお気軽にお問い合わせください。

 

記事監修:北岡淳(北岡技芳堂 代表)

初代である祖父が掛け軸の表具師を生業としており、幼い頃から美術品や骨董品に親しむ。その後京都での修行を経て、3代目として北岡技芳堂を継承。2006年に名古屋大須にギャラリーを構え、幅広い骨董品や美術品を取り扱いながらその鑑定眼を磨いてきた。

 

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弊店は販売をする店舗だからこそあらゆる骨董品が高価買取を可能にします。

 

美術品の売却をご検討なさっているお客様や、ご実家のお片付けや相続などでご整理をされているお客様のご相談を賜ります。

 

どうしたら良いか分からなかったり、ご売却を迷われている方がが多いと思いますが、どのようなことでも北岡技芳堂にお任せください。

 

裁判所にも有効な書類を作成させていただく事も出来ます。

 

北岡技芳堂では骨董品の他にも、絵画や貴金属、宝石、趣味のコレクションなど様々なジャンルのものを買受しております。

 

出張買取も行っております。愛知県、三重県、岐阜県、静岡県その他の県へも出張させていただきます。

 

まずは、お電話にてお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

骨董品の買取【北岡技芳堂 名古屋店】

 

愛知県名古屋市中区門前町2-10

 

電話052(251)5515

 

営業10:00-18:00

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