2025年9月3日
ウォーホルの作品がユニクロのTシャツになる理由
米国のポップ・アーティスト、アンディ・ウォーホル。死後数十年が経つ現在もその人気は衰えを知らず、遺された作品たちは今もなお高額で取引されています。このページでは彼の作品の根底に流れる思想とともに、その人気の理由についてご紹介しています。ウォーホルの作品をお持ちの方、作品に興味のある方は、ご一読いただくと何かの参考になるかもしれません。
「マリリン(Sunday B. Morning)」シルクスクリーン
■「ウォーホル=浮世絵」説
アンディ・ウォーホル(Andy Warhol/1928年〜1987年)は、主に1960〜1980年代に活躍した米国のアーティストで、ポップアートの旗手・アイコンとされている人物です。世界的な芸術家ではあるのですが、存命中から日本国内での人気は相当高く、TVコマーシャルにもたびたび登場したほどです。昭和世代の方には「あか、みどり、あお、ぐんじょういろ、きれい」と辿々しい日本語を喋る銀髪のウォーホルを見たという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。死後40年近く経過した現在もしばしば大規模な回顧展が開催されており、ユニクロで毎年のように彼の作品をモチーフにしたTシャツが販売されていることからも、彼の不動の人気ぶりが伝わると思います。
彼が作品制作に用いたシルクスクリーン技法が版画技術の一種であること、流行りのスターや人気者をモチーフにしていること、パキッとしたわかりやすい色面構成から、日本国内では彼の作品と浮世絵の共通点が指摘する声が多く、偶然とはいえもともと日本人に好まれる作風なのかもしれません。
■美術史を動かした芸術家
ウォーホルが身を投じた「ポップアート」は1950年代にはじまりました。それまでの近代美術が貴族やブルジョワを対象としたのに対し、ポップアートはその名の通りポピュラー、つまり一般大衆を対象にした芸術運動です。それまでにも江戸時代の浮世絵や19世紀フランスのポスターアート、20世紀前半のアメリカの雑誌・コミックなど大衆芸術と呼ばれるジャンルは存在しましたが、近代美術の文脈に大衆文化を取り入れ、美術館に展示されるほどの高い芸術性をもたせることに成功したポップアートは、美術史の転換点ともいえる重要なムーブメントだったといえます。
当時の美術界では、作家の内面に潜む感情をカンバスに叩きつけるような、難解な「抽象表現主義」がもてはやされていました。しかし、ウォーホルが取り上げたモチーフはスープの缶詰や洗剤のパッケージ、人気ミュージシャンや映画俳優など一般大衆に馴染みが深いものばかり。大戦後の世界は大量生産・大量消費の時代へと突入し、当時のアメリカ社会には「確かに生活は豊かになったが、本当にこのままでいいのだろうか?」という漠然とした不安が広がっていました。一見わかりやすくポップですが、見ようによっては悪趣味にも低俗にも見えるウォーホルの作品群は、こうした時代の気分を見事に捉え、当時の若者たちから熱狂的な支持を受けます。また、サステナブルな経済活動を目指す現代社会においても、彼の作品が内包する批判性は新たな共感を呼びそうです。
■ウォーホル作品の真贋を見極めるポイント
芸術的な価値はもちろん、世界の美術史に与えたインパクトの大きさから、存命時から現在に至るまで揺るがない評価を得ているウォーホルの作品。2022年にはクリスティーズのオークションで「ショット・セージブルー・マリリン」が、1億9500万ドル(約253億円)で落札されたことが大きな話題になりました。
ただ、その人気ゆえに偽物が多く出回っていることも事実です。巧妙な贋作も多く、真贋鑑定が難しい作家の一人とされています。こうした状況に対応するべく、米国の公式管理団体が鑑定を行ってきましたが、相次ぐ訴訟に耐えきれず、2011年に解散。ウォーホルが生涯に手がけた作品数は10,000点を超えるとされ、依然として未鑑定の作品が市場に多く出回っている状況です。
当ギャラリーではこれまで多くのウォーホル作品を扱った実績があります。その過程で額装や箱の状態、エンボスやサインの雰囲気から真贋を見極めるノウハウを蓄積してきました。「もしかしたら本物かな?」という作品をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。経験豊富な北岡が責任を持って鑑定し、高額で買取いたします。
■ウォーホルもそれ以外も 骨董・アートの高価買取は北岡技芳堂へ
北岡技芳堂では骨董品の他にも絵画や貴金属、宝石、趣味のコレクションなど、さまざまなジャンルの品物を買受しております。ここ名古屋の地で長年にわたり取引を重ねてきた実績をベースに、多種多様なニーズに対応できる販売チャネルをもつため、あらゆる骨董品の高価買取を実現しています。
ご実家の片付けや相続などの際、手持ちの骨董品について「どうしたら良いか分からない」という方も多くいらっしゃると思います。どのような品物でも、どのようなことでも構いません。私たち北岡技芳堂にお任せください。出張買取も実施しています。愛知県、三重県、岐阜県、静岡県その他の県へも出張させて頂きます。まずは、お電話にてお気軽にお問い合わせください。
記事監修:北岡淳(北岡技芳堂 代表)
初代である祖父が掛け軸の表具師を生業としており、幼い頃から美術品や骨董品に親しむ。その後京都での修行を経て、3代目として北岡技芳堂を継承。2006年に名古屋大須にギャラリーを構え、幅広い骨董品や美術品を取り扱いながらその鑑定眼を磨いてきた
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