2025年5月17日
絵画の種類 技法・テーマ・流派ごとの分類についてご紹介 絵画買取コラム7
「絵画」と一口に言っても、技法、描く対象物のテーマ、技法、素材、流派などによって、様々な種類に分類されるということはご存じでしょうか。
このコラムでは、絵画に興味があるけれど、種類が多すぎてよく分からない、所有している絵画を売りに出したいが、どういった絵画に分類されるのか分からない、などのお悩みを抱えている方向けに、絵画の種類を分類ごとに分けて、詳しく説明致します。
絵画の種類
技法から見た絵画の分類
絵画は、使用される画材や描き方により多種多様な技法に分かれており、それぞれに独自の魅力が存在します。ここでは代表的な絵画技法についてご紹介いたします。
油絵
油絵は、油性の絵具を用いてキャンバスなどに描く技法であり、古くから長い歴史を持っています。
この技法の大きな特徴は、色彩の深みと質感を豊かに表現できる点にあります。乾燥に時間がかかるため、色を重ねたり、柔らかくぼかしたりすることが容易で、奥行きのある表現を得意とします。
さらに、油絵は保存性にも優れ、適切な管理環境下では何百年も美しさを保つことができるため、多くの美術館で重要なコレクションの中心を占めています。
代表作
・フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」「タンギー爺さん」
・レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」
水彩画
水彩画は、水溶性の絵具を使用して描かれる技法です。
水を加えることで自由に色の濃淡を調整でき、透明感のある軽やかな色調に仕上がるのが特徴です。特に自然風景や花などのモチーフに用いられることが多いです。
技法には、乾いた紙に描く「ドライペイント」や、湿った紙に直接絵具をのせる「ウェットオンウェット」など、さまざまなスタイルがあります。
代表作
・ウィリアム・ターナー「解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号」
・マリー・ローランサン「牝鹿」「ヘレナ・ルビンスタインの肖像」
アクリル画
アクリル画は、アクリル樹脂を原料としたアクリル絵具を使用して描く技法です。
水に溶ける性質を持ちながら、乾燥後は耐水性を持つため、非常に耐久性が高いのが特徴です。また、乾きが速いため修正もしやすく、鮮明な発色や柔らかなグラデーション表現も自在に行えます。
キャンバスに限らず、木材や布地など多様な素材にも描画可能です。
代表作
・ロイ・リキテンシュタイン「ヘアリボンの少女」
・元永定正「飛んでいる赤と緑」
ペン画
ペン画は、ペンを使って精密な線描によって表現する技法です。
主に万年筆やボールペン、マーカーなどを用い、線の細さや質感によって描き分けられます。
ほとんどのペン画はモノクロで制作され、クロスハッチング(交差線による陰影表現)などを駆使して立体感や質感を表現します。建築物や冬景色、人物の肖像などによく使われる技法です。
代表作
・レンブラント・ファン・レイン「審判」
・師岡正典「冬のもの語り」
コラージュ画
コラージュ画は、絵具を使わず新聞、壁紙、書類など様々な素材を組み合わせて制作する技法です。
20世紀初頭、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって確立されました。ダダイズムやシュルレアリスムの作家たちにも支持され、現実と幻想を融合させる手法として発展しました。
代表作
・パブロ・ピカソ「椅子の籐編みの静物画」
・ジョルジュ・ブラック「クラリネットのある静物」
版画
版画は、木材や金属、石などの素材に絵を彫ったり腐食加工を施した版(原画)にインクを塗り、紙や布に転写して制作する技法です。
最大の特長は、一つの原画から多数の複製作品を作れる点にあります。
素材による分類
-
木版画(ウッドカット):木の板に絵を刻み、凸部にインクを付けて転写。
-
銅版画(エッチング、アクアチント):銅板を腐食または彫刻して細密表現。
-
石版画(リトグラフ):石の平面に描き、繊細な表現が可能。
技法による分類
-
凸版画:凸部分を印刷。例:木版画
-
凹版画:凹部にインクを残して印刷。例:エッチング、ドライポイント
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平版画:油性インクと水の反発を利用する。例:リトグラフ
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孔版画:メッシュにインクを押し込む。例:シルクスクリーン
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混合技法(モノタイプ):一度きりの転写を行う特別な技法。
代表作
・棟方志功「二菩薩釈迦十大弟子」
・アルフォンス・ミュシャ「ゾディアック(黄道十二宮)」
デジタル絵画
デジタル絵画は、コンピュータと専用のペンデバイスを使い、タブレット上で描かれる絵画です。
従来技法の再現だけでなく、レイヤーやエフェクトを駆使した独自の表現が可能で、データであるため何度でも修正・加工ができる柔軟性を持ちます。
代表作
・マイク・ウィンケルマン「Everydays: the First 5000 Days」
・ラーバ・ラブズ「CryptoPunks」
描く対象から見た絵画の分類
絵画は、描かれている対象によっても分類することができます。ここでは、代表的なジャンルについてご紹介します。
風景画
風景画は、山、海、森、都市など自然や街並みをモチーフに描いた作品を指します。
光や影の微妙な変化、自然の壮大さを表現することにより、リアルな臨場感を生み出すのが風景画の魅力です。
代表作
・クロード・モネ「印象・日の出」
・ジョセフ・ターナー「雨、蒸気、速度」
人物画(肖像画)
人物画は、人間をテーマにした絵画で、肖像画、風俗画、宗教画などを含みます。
古くから制作され続け、人物の表情や衣装、背景を通して、その時代や社会を映し出しています。
代表作
・ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」
・エドヴァルド・ムンク「叫び」
宗教画
宗教画とは、宗教にまつわるテーマを題材とした絵画を指します。
かつては文字を読めない人々に聖書の教えを伝えるために用いられ、歴史を通して重要な役割を果たしてきました。
代表作
・ミケランジェロ・ブオナローティ「最後の審判」
・サンドロ・ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」
歴史画
歴史画は、歴史上の出来事や神話、宗教的な物語を描いた作品です。
芸術作品であると同時に、当時の文化や価値観を知るための貴重な資料ともなっています。
代表作
・前田青邨「洞窟の頼朝」
・ジャック=ルイ・ダヴィッド「ナポレオンの戴冠式」
風俗画
風俗画は、日常生活や当時の社会の風俗を描いた絵画を指します。
特に江戸時代の日本やヨーロッパのバロック期で盛んに描かれ、庶民の暮らしや文化が生き生きと表現されています。
代表作
・東洲斎写楽「奴江戸兵衛」
・ピーテル・ブリューゲル「農民の踊り」
静物画
静物画は、動かない物体をテーマにした絵画で、花、果物、食器などを描いたものが一般的です。
特に17世紀オランダで盛んに制作され、日常に潜む美しさを再発見できる点が魅力です。
代表作
・ピーテル・クラースゾーン「鰊のある静物」
・エドゥアール・マネ「アスパラガスの小枝」
博物画
博物画は、動植物など自然界の生物を精密に描いた絵画で、主に図鑑や博物誌向けに制作されます。
科学的記録としての側面が強いのが特徴です。
代表作
・ウィリアム・ジャーディン「ナチュラリスト叢書」
・エドワード・ドノヴァン「英国昆虫誌」
抽象画
抽象画は、具体的な対象を描くのではなく、形や色彩、線を通して作家の感情や思考を表現する絵画です。
見る人それぞれが自由に意味を読み取れる点が、抽象画の最大の魅力となっています。
代表作
・ワシリー・カンディンスキー「コンポジションVIII」
・白髪一雄「陽天傷星行者」
流派から見た絵画の分類
絵画の歴史には、多様な流派や運動が存在し、それぞれが独自の理念や技法を発展させてきました。代表的なものを紹介します。
印象派
19世紀後半、フランスで誕生した印象派は、モネの作品『印象・日の出』に由来してその名がつきました。
細かな筆致、屋外での制作、光の変化を色でとらえる表現が特徴です。
代表的な画家
・クロード・モネ
・ピエール=オーギュスト・ルノワール
抽象派
20世紀初頭に生まれた抽象派は、具体的な形態を排し、色や線、形を用いて内面世界を表現することを目指しました。
自由な解釈を楽しめる点が、今日の現代アートにも大きな影響を与えています。
代表的な画家
・ワシリー・カンディンスキー
・ピート・モンドリアン
バロック様式
バロック様式は、16世紀末から18世紀初頭にかけてヨーロッパ各地で流行しました。
宗教的主題を多く取り上げ、光と影を巧みに操り、感情豊かなドラマティックな表現を特徴とします。
代表的な画家
・ピーテル・パウル・ルーベンス
・ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ
写実主義
19世紀半ばに登場した写実主義は、現実を忠実に再現することを重視し、社会のありのままを描きました。
写真技術の発展も影響し、貧困や労働の現実を真正面から捉える作品が数多く生まれました。
代表的な画家
・ギュスターヴ・クールベ
・ジャン=フランソワ・ミレー
ロマン主義
18世紀末から19世紀初頭にかけて興隆したロマン主義は、個人の感情や自由な想像力を重視しました。
文学や音楽にも広がり、芸術全体に影響を与えました。
代表的な画家
・ウジェーヌ・ドラクロワ
・フランシスコ・デ・ゴヤ
ロココ主義
18世紀前半にフランスを中心に発展したロココ主義は、軽快で優雅な表現が特徴です。
バロック様式の重厚さを引き継ぎつつ、遊び心あふれる表現が多く見られます。
代表的な画家
・ジャン=オノレ・フラゴナール
・アントワーヌ・ヴァトー
新古典主義
18世紀後半から19世紀にかけて流行した新古典主義は、古代ギリシャ・ローマの芸術を手本に、理性と秩序を重んじる作風を特徴とします。
過剰な装飾を避け、簡潔で調和の取れた表現が重視されました。
代表的な画家
・ジャック=ルイ・ダヴィッド
・ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル
狩野派
狩野派は、室町時代から江戸時代にかけて発展した日本画の一大流派です。
中国絵画を基盤に、日本独自の様式美を取り入れた作風が特徴です。
代表的な画家
・狩野正信
・狩野永徳
四条派
四条派は、円山応挙を祖とし、江戸後期から明治にかけて隆盛した日本画の流派です。
写生と文人画の精神を融合させた作風で、京都画壇の中心的存在となりました。
代表的な画家
・円山応挙
・竹内栖鳳
まとめ
絵画は、技法、描かれた対象、そして流派といった観点から、さまざまに分類することができます。
それぞれの分類には独自の歴史や魅力があり、作品を鑑賞する際には、これらの背景を意識することで、より深い理解と感動を得ることができるでしょう。
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