2013年9月27日
北大路魯山人 蟹絵皿
北大路魯山人
織部蟹絵皿
ざんぐりとしたタタラ造りの皿に、1匹の蟹が俳画のような気分で描かれている。
形や模様のモチーフが決まると、そのなかでいかにも自由に、あたかも蟹と遊ぶかのように絵付けしている。
この絵皿は昭和三十四年作のいわば焼き物としての絶作であり、この蟹の陶画の中に魯山人は、それまでの芸術の総てを要約して封じ込め、あの世に逝ってしまったとしか思えないのだ。
それほど絵画としてもこれは素晴らしいものである。
新潮社 魯山人の世界から抜粋