2019年2月28日
小山冨士夫の書 去来
小山冨士夫の書
去来
【意味】
1・去ることと来ること。行ったり来たりすること。
2・過去と未来
過去の陶磁器を研究することにより、古格の高められた造形を自らの作陶に取り入れ、未来の作品を生み出して行った小山冨士夫の「去来」という文字に重みを感じます。
小山冨士夫が六古窯という言葉を作ったといわれています。 六という数字が確定するのは戦後のことです。
それは日本の陶磁研究者は、中国の名品を研究することが多かったのですが、小山冨士夫は日本の古い陶磁器にも注目し、その研究の大切さを主張した人だからです。
古い文献に出てくる瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前の五つの古い窯、そして越前を訪れたとき、地元の研究者である水野九右衛門さんが集めた古い焼物の資料を見せられ、六番目に越前を加えて六古窯が成立しました。
ちなみに、その時まで越前焼という言葉はなく、織田焼や氷坂焼という名前で伝わっていました。 しかし、それではあまりに小さい地域の名前なので、より大きな名前として越前焼と命名しました。
六古窯に数えられる窯は、いずれも平安時代の末期から鎌倉時代に生産を始め現代まで続いている窯です。
過去と未来をつなぐ古陶磁の研究を純粋にされた小山冨士夫の書には何処か凛とした空気が漂っています。
去年が、去り、今年が来る、という事でお正月に掛けると相応しい掛軸と思いましたが、新年度が4月からなので床間に掛けてみました。