先日は、山下清の色紙作品を買取いたしました。淡く優しい色合いのペン画で金せん花が描かれており、山下清鑑定会の鑑定書も付いておりました。この度は、誠にありがとうございました。

山下清の作品といいますと「ちぎり絵」で知られる貼絵が代表的ですが、昭和30年代からは色紙や陶磁器などへの描画にも取り組み、フェルトペンによる作品も多く残しています。今回のように花や昆虫などを題材にしたペン画も見られますが、やはり《富士山》や《花火》などを描いた風景作品の方が描き込みも多く、市場でも高く評価される傾向にあります。また、黒一色ではなく複数色のペンを用いた作品の方が評価が高まりやすくなっています。

山下清（1922〜1971）は東京・浅草に生まれ、幼い頃に重い病を患い、その後は千葉の養護施設「八幡学園」で育ちました。そこで出会った「ちぎり絵」によって、持ち前の集中力と記憶力を発揮し、細かくちぎった色紙を用いた独自の表現を確立していきました。

1940年には突如として放浪の旅に出て、以後14年ほどを旅の中で過ごします。旅先で見た風景を心に焼き付け、記憶をもとに描き上げた貼絵作品は細部まで驚くほど正確で、その緻密さと独創性は今も多くの人々を魅了しています。

1956年には全国で展覧会が開催されるようになり、ペン画などの新たな表現にも挑戦。1971年、49歳という若さでこの世を去りますが、最後の言葉は「今年の花火見物はどこに行こうかな」だったといいます。

北岡技芳堂では、山下清をはじめとする近現代作家の色紙・掛軸・貼絵作品などの査定・買取を行っております。ご自宅で保管されている作品の整理をお考えの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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