葛西四雄の油彩画を買取いたしました。葛西四雄は、北国の自然や漁村を題材に、力強い写実表現で知られた洋画家です。暗い海や雪景色の中に赤い屋根や漁小屋を配した構図が代表的なモチーフであり、作品に強い印象を与えるものとなっております。

下北半島や津軽半島の荒々しい海峡、冬の日本海の深い暗さとそこに根づく漁夫たちの暮らしを描き出した風景は、まさに葛西の生まれ育った土地を強く反映しています。

市場においても、こうした漁村を描いた作品は評価が高く、特に黒を基調とした画面に対して赤がバランスよく配置されている作品は高額査定につながりやすい傾向があります。今回のお品も、まさにその特徴がよく表れた一枚でした。この度は、誠にありがとうございました。

葛西四雄（かさい よつお）は1925年に、青森県南津軽郡に生まれました。県立青森師範学校を中退後、1953年から1961年まで小学校助教諭を務め、その傍らで画業を続けます。1957年には奈良岡正夫に師事し、同年の第10回示現会展に初入選しました。

1962年には第5回日展に「滞船」が初入選。翌年には示現会会員となり、その後も精力的に制作と発表を続けました。1969年からは安井賞候補展にも出品し、1971年の改組第3回日展では「北の漁村」で特選を受賞。翌年には日展無鑑査となります。さらに1978年には第10回日展で「北の浜」が特選に輝き、1985年には日展会員に推挙されました。

また、1982年には新宿小田急で個展を開催し、翌年からは奈良岡正夫らとの四人展を銀座松屋で開催、この展覧会は6回にわたり継続されました。示現会理事、日本美術家連盟会員も務め、北国の海を題材とした力強い写実表現で知られています。日展への出品作には「北の海辺」（第14回）、「岬」（第16回）、「北の漁村」（第17回）などがあり、その作風は一貫して北国の風土を描き出しました。

1990年4月27日、肝不全のため逝去、享年64歳でした。

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