織田広比古の油彩画「ピアノと少女」を買取いたしました。華やかなドレスに身を包んだ女性が、ゆったりとピアノに向かうひとときが描かれています。くつろいだ表情からは、どこか音楽に心をゆだねているような空気が伝わってくるようです。

織田広比古は、日本の洋画界で活動した画家で、繊細でやわらかな色彩表現に定評があります。今回は、人気のある音楽を演奏している様子が描かれた作品であり、あわせてサイズや保存状態なども考慮したうえで、こちらの評価とさせていただきました。誠にありがとうございました。

織田広比古は、1953年に東京都で生まれました。父は洋画家として名を馳せた織田廣喜で、幼いころから芸術に囲まれた環境の中で育ちました。

1976年、東京造形大学を卒業。その年には、銀座能楽堂の画廊で三人展に参加し、若き才能として注目を集めることになります。その後も兜屋画廊やギンザのサヱグサ、渋谷画廊といった会場で次々と個展を開催し、画家としての歩みを本格的に進めていきました。

同じ年、日動画廊の「現代の裸婦展」で入選を果たし、続いて「仮象展」にも出品。さらに、二科展に初出品で特選を受賞するなど、作品がさまざまな場で評価されていきます。その後も「秀作展」での展示やMOA美術館賞の受賞が続き、銀座ラウンジもちづきでの個展も開催されました。

フジテレビ賞やパリ賞も受賞し、同年にはパリに移住。現地でもグループ展を開催するなど、活動の場を海外にまで広げました。その後も文芸春秋画廊や画廊香月、東武百貨店などでの個展が続き、二科展では会友賞も受賞。札幌三越やそごう横浜店、三越本店など、百貨店での展示も各地で行われました。

安井賞展への出品や、ステップスギャラリー、Pigga、そごう川口店、銀座三越での個展も開催。さらに、湘南西脇画廊や小倉玉屋、ギャラリーフォルテと活動の場を広げ、会員努力賞を受賞するなど、その作品は多くの人の心を捉え続けました。

晩年まで創作意欲は衰えず、いつき美術や八木橋百貨店、松屋銀座などでも個展を開催。日本とフランスを往復しながら描き続けた人生は、2009年、パリで静かに幕を閉じました。

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