買取実績

買取実績

絵画
原勝四郎 油彩画
「風景」
- 買取地区:
- 一宮市
- 買取方法:
- 店頭買取
参考価格¥150,000
原勝四郎の油絵を買取いたしました。建物や樹木、丘陵のような自然の起伏が、明確な線描ではなく、大胆に省略された形と奔放な筆致で構成されています。
色彩は黄土色を中心に、朱、桃、黒、緑などが濃淡をつけて重ねられており、遠景にうっすらと描かれた塔や屋根のような形がみられます。
一見すると抽象性が強いようにも感じられますが、かつて旅した日本の寺院や街並みの記憶を想起させるような佇まいがあり、原勝四郎が好んで描いたモチーフである、その地で暮らす人々が築き上げた風景や、日々の営みを思い起こさせるような作品となっています。
原 勝四郎(はら かつしろう、1886–1964)は、現在の和歌山県田辺市に生まれ、紀南の自然と風土をこよなく愛した画家です。
1905年に洋画家を志望して上京し、東京美術学校や白馬会研究所で学び、黒田清輝の指導を受けたこともありましたが、次第にヨーロッパで学びたいという思いが強くなっていきました。
第一次世界大戦中で旅券が発行されず、資金も限られるなか一度は帰郷しますが、その決意は揺るがず、1917年にシンガポール行きの旅券を得て出国、サイゴンで船員として雇われようやくフランスへと渡ります。
パリにたどり着いたものの、戦時下の厳しい情勢のなかで生活は困窮を極め、画学校に通うことができたのはごく短い期間でした。その後はさまざまな仕事をしながら、フランス各地、イタリア、北アフリカなどを放浪する日々が続きます。
時にはマラリアにかかり、入院を余儀なくされることもありましたが、友人たちの支援を受けながら再びパリに戻り、ようやく1921年に帰国することができました。
決して順風満帆とは言えないヨーロッパ滞在ではありましたが、そこで出会った画家仲間や美術館で目にした巨匠たちの作品、そしてどんな状況にあっても絵を描かずにはいられない自分自身の内面と向き合った経験は、原の芸術を育んでいくうえで大きな糧となりました。
帰国後は再び郷里に落ち着き、紀南の自然や身近な家族、自画像、バラの花などを題材に絵を描き続けました。1921年に第8回二科展に出品し、1940年には岡田賞を受賞、翌年には会友に推挙されます。
戦後は二科会の再建には加わらず、新たに結成された二紀会に参加し、第15回展では同人努力賞を受賞しました。その後はどの団体にも属さず、無所属で制作を続けるようになります。
原が描いたのは、明るくのびやかな田辺や白浜の風景、そこに暮らす家族の姿、そしてバラを中心とした静物など、自身の身の回りにある日々の美しさでした。画面いっぱいに広がる鮮やかな色彩と力強い筆致は、素朴で温かなまなざしを感じさせ、今なお見る人の心に残る魅力を放っています。
こちらの作品は、板に油彩で描かれております。興味深いのは、この作品の板の両面に絵が描かれていたという点です。額を開けてみたところ、裏面には色鮮やかな薔薇の花が描かれていました。
サインは裏側の薔薇の作品の方にありました。時を経てもなお、じっくりと眺めていたくなるような静かな力を持った作品です。
【原勝四郎 略歴】
1886年
和歌山県田辺市に生まれる
1904年
田辺中学校を卒業
東京美術学校予備科に入学
1914年
白馬会溜池研究所に通う
1917年
渡仏し、パリのアカデミー・グラン・ショミエール等で油絵を学ぶ
1921年
帰国
第8回二科展に入選
以後1943年まで二科展に出品
1940年
第27回二科展で岡田賞受賞
1941年
二科会友となる
1931年
西牟婁郡瀬戸鉛山村(現・白浜町)に転居
1948年
第2回二紀展に同人として出品
以後1960年まで出品
1953年
第7回二紀展で同人努力賞受賞
1959年
第13回二紀展で同人優勝
大阪・丸善美術画廊にて個展開催
1964年 78歳で逝去
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※買取価格は制作年、作風、状態などにより相場が変動いたしますので、
掲載されている金額は、ある程度の目安としてご参考にしていただけますと幸いでございます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
北岡技芳堂では、絵画、掛け軸、骨董品、刀剣類などの美術品全般を幅広く取り扱っております。
売却をご検討なさっているお客様や、ご実家のお片付けや相続などでご整理をされているお客様のご相談を承ります。
遺産相続に伴う評価書作成も行っております。
何から始めたらよいのか分からない場合も多いことと存じますので、
ご不明なことなどございましたら、まずはお気軽にご連絡くださいませ。
愛知県、三重県、岐阜県、静岡県を中心に、全国への出張買取も行っております。
【北岡技芳堂 名古屋店】
460-0018
愛知県名古屋市中区門前町2-10
電話:0120-853-860
営業時間:10時〜18時
定休日:日曜(出張が多いため、ご来店の際はご予約をお願いいたします)
#骨董品買取#骨董品#古美術#絵画#版画#茶道具#陶芸品#日本刀#彫刻#金#掛軸#現代アート