買取実績

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絵画
糸園和三郎
「木立」
- 買取地区:
- 名古屋市内
- 買取方法:
- 店頭買取
参考価格¥150,000
糸園和三郎の10号の油絵を買取いたしました。糸園和三郎は、昭和から平成にかけて活躍した洋画家で、詩情と人間味あふれる作風で知られています。
作品名は「木立」です。和三郎の中でもかなり抽象的な表現の作品で、しっとりとした色調で描かれた森の情景は、幻想的でありながらも静謐な存在感を放っており、霧雨の中に佇む木々が水面にその姿を落とし込んでいます。
作品にはどこか哀しみを帯びた静けさが漂い、重厚な色彩と象徴的な構成によって、人間の孤独や苦悩を静かに語りかけてくるようですね。
特に戦争や生と死、孤独といった人間の根源的なテーマを扱った作品は、詩的な奥行きを持ちつつ、鋭い社会性も備えており、戦後日本の具象絵画のなかでも異彩を放っています。
また和三郎は、フランスの芸術運動「シュルレアリスム」から大きな影響を受けており、空想と現実が交錯するような幻想的な作品も多く手がけました。
糸園和三郎(いとぞの わさぶろう)は1911年、大分県中津市に生まれました。呉服商の家に三男として生まれた彼は、小学校5年生のときに骨髄炎を患い、手術を受けます。
その後も長く療養生活を送り、進学も叶わぬまま青年期を迎えますが、16歳のときに一念発起して上京します。兄とともに東京・大井町に住み、父に勧められて川端画学校に通い始めました。
1930年には、和三郎の運命を大きく変える出来事が訪れます。前田寛治の写実絵画に感銘を受け、同氏が主宰する写実研究所に入門、春陽会展に「赤い百合」「上井草」で初入選を果たしました。
こうして和三郎は若き画家としての第一歩を踏み出し、やがてシュルレアリスムの有力新人として画壇で注目を集めるようになります。
1931年には独立美術協会展にも初入選します。同年に研究所の塚原清一、高松甚二郎、山本正と四軌会を結成して展覧会を開催、のちに飾畫と改称して積極的に作品発表を行いました。
この頃より、シュルレアリスムの影響を強く受けた作風へと変化を遂げていき、1939年には福沢一郎や北脇昇らとともに美術文化協会の結成に参加します。
さらに1943年、戦時下における芸術の自由を守るべく、井上長三郎、靉光、鶴岡政男、寺田政明、大野五郎、松本竣介、麻生三郎と8人で新人画会を立ち上げました。この時代、多くの画家が戦争画を描く中、和三郎は自らの表現を守り抜きました。
しかし、1945年の東京大空襲によって、和三郎がそれまで描いてきた多くの作品が焼失してしまいます。戦後は再び制作に打ち込み、1947年からは美術文化協会を退会して、新人画会のメンバーと自由美術家協会にに参加しました。
1957年には「鳥の壁」で日本国際美術展の佳作賞を受賞し、同年にはサンパウロ・ビエンナーレにも出品、その表現力は国内外で高く評価されました。1964年に自由美術家協会を退会し、以後は無所属となりました。
体調面では、1959年に脳動脈瘤が見つかりましたが、手術によって制作ができなくなる危険性から手術は受けず、中津で一年半の療養生活を送りました。
1980年代に右目の視力を失い、晩年には左目の視力も衰えながらも、彼は筆を置くことはありませんでした。
日本大学芸術学部では長年にわたって後進の育成にも尽力し、多くの若い芸術家たちに影響を与えました。
和三郎の作品は、常に詩情とヒューマニズムに満ちており、現代人が抱える不安や孤独や静かに、しかし力強く描き出しています。
現実と夢想が同居するその画面からは、和三郎の人間観や哲学が滲み出ています。その画風は時代の流行に流されることなく、晩年に至るまで揺るぎない世界観を保ち続けました。
北岡技芳堂では、糸園和三郎の油絵、ガラス絵、陶板などの査定、買取を行っております。ご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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【糸園和三郎 略歴】
1911年8月4日
大分県中津町の呉服商の家に生まれる
1922年
小学校在学中に骨髄炎を患い、手術を受ける
1927年
上京し、次兄と共に大井町に住む
父に勧められて川端画学校で絵を学び始める
1929年
第4回1930年協会展に「人物」で初入選
1930年
第8回春陽会展に「赤い百合」「上井草」が初入選
1931年
独立美術協会展に出品し、同年、四軌会を結成
1938年
飾畫展が創紀美術協会に合流するため発展的に解散
1943年
井上長三郎らとともに新人画会を結成
1945年
東京大空襲により笹塚の自宅が焼失し、作品の大半を失う
1946年頃
郷里・中津で絵画塾を開く
1947年
自由美術家協会に参加
1957年
日本大学芸術学部で教鞭をとり、後進の育成にあたる
1964年
自由美術家協会を退会し、以後は無所属として活動
2001年6月15日
東京都杉並区の病院で肺炎のため死去(享年89)
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※買取価格は制作年、作風、状態などにより相場が変動いたしますので、
掲載されている金額は、ある程度の目安としてご参考にしていただけますと幸いでございます。
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