手焙を買取いたしました。手焙（てあぶり）は、江戸時代から明治・大正期にかけて用いられていた携帯型の暖房具で、炭火を入れて手や身体を温めるための道具です。茶道具や古民家では今も季節道具として親しまれています。

こちらの手焙は特に装飾性が高く、全面に菊をあしらった精緻な彫刻が施されています。

持ち手部分まで葉文様が刻まれており、彫刻の緻密さと技巧の高さが際立っています。これほど立体的に装飾された手焙は珍しく、実用性よりも観賞や贈答として用いられていた可能性が高いです。

手焙は、江戸時代の人々が冬を快適に過ごすために使っていた携帯型の暖房器具で、小さな器に灰と炭火を入れ、指先や手元を温めます。現代で言えばヒーターのような存在でしょうか。

その構造はいたってシンプルで、容器の中に灰を入れて炭火をおこし、直接そのぬくもりに手をかざして暖を取る仕組みです。

火と体の距離が近くなるため、陶器・金属・土器など耐火性のある素材が多く用いられました。とくに移動可能な点が重宝され、囲炉裏や火鉢と並んで日常の寒さをしのぐ身近な道具でした。

江戸時代には、装飾性や造形美を備えた優品が数多く登場します。シンプルな円筒形やドーム型、胴部に窓や通気口を備えたもの、動物を模したユニークな造形まで、形状やデザインは実に多様でした。

商家や茶の間には木製の箱型火鉢、庶民の間では陶器や土器製の素朴な手焙が使われていたようで、それぞれの暮らしのなかに溶け込んでいました。

現代ではその機能性よりも、美術的価値や古民具としての味わいが評価され、インテリアとしても愛されています。

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