日本画家・臼井治の作品を買取いたしました。2024年は画業50周年ということで、名古屋で記念展が行われていましたね。桜や椿、塔などの風景から、人物は歌舞伎役者、舞台の黒子、舞妓、親鸞聖人、紫式部、金太郎まで、画風も可愛らしいものから美しく雅なものまで幅広く描き分けられています。

副題となっている「タージ・マハル」は、インド北部アグラにある総大理石造りの霊廟です。今から約350年前に、インドを支配していたムガール帝国の皇帝シャー・ジャハーンが、王妃ムムターズ・マハルの死を悼み17年をかけて建てました。

タージ・マハルは正面からの外観はもちろん、霊廟内のありとあらゆる部分が左右対称になっていることで知られています。白い大理石でできた霊廟には、翡翠、水晶、トルコ石、サファイア、などの貴石で花の紋様が施されています。間近で確認すると、大理石を彫って作られたレリーフや、象嵌細工と呼ばれる繊細な装飾を見て取ることができ、象嵌細工は黒大理石を埋め込んだ芸術的な模様や、イスラム教の聖典であるコーランの一節が描かれているそうです。

 建物の前にある長さ約300mの池に映る姿もタージ・マハルの魅力の1つとなっています。妻であるムムターズ・マハルの遺言には「後世に残る立派なお墓に入れてほしい」といった旨の一文があったそうですが、それにしてもこの世のものと思えない美しさと凄みを感じさせますね。

他にもインドをモデルにした作品を描かれた画家はおりますが、古今問わずインドという国の独特な風土や文化に惹きつけられる人は少なくありません。インドに魅せられた画家たちは何度もその地を訪れ、風景、人々や生き様を描き続けました。

臼井治（うすい おさむ）は愛知県立芸術大学大学院美術研修科で学び、師は片岡球子です。院展などでも入選を重ね、愛知県立芸術大学日本画非常勤講師、同大学法隆寺金色堂壁画模写事業参加を経て、現在は日本画や水彩画の講師を務めています。

また、国内のみならずリトアニア、台湾など海外での個展も開催しており、近年は寺社の障壁画、屏風画を手掛けるなど、日本古来の伝統的技法を駆使し多岐に渡り活躍しています。

1950年生まれ

1977年　愛知県立芸術大学大学院美術研修科終了

現在日本美術院 特待

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