ニューヨーク生まれの画家・イラストレーターでもあるアイベン・ロールのシルクスクリーンを買取いたしました。アイベン・ロールも買取の際に出会うことの多い作家の一人です。作風は、木や森林、霧などの自然をモチーフにした幻想的で静寂に包まれた作品が多く、日本では特にシルクスクリーンが人気で数多く普及しています。

アイベン・ロールは、1916年、舞台背景画家の父と女優である母を両親に持つ中流家庭の次男としてニューヨークに生まれました。父の影響もあり、幼少期から紙切れなどに絵を描いて遊んでいました。両親が離婚した際には父親に連れられ、ヨーロッパ各地を移動しながら絵を描く行商旅行をしていました。しかし、旅行中に父親から暴力を振るわれるようになり、逃げるように母親のいるニューヨークへ帰郷しました。

14歳の時にフランスで最初の個展を開いて以来、名声は着実に高まっていきます。21歳の時、水彩画を描いて旅費を稼ぎながら、ハリウッドからニューヨークまで自転車で横断したこともありました。初期の作品は写実的なものでしたが、ゴッホ、セザンヌ、ロックウェル、オキーフなど、様々な巨匠の作品を研究した後、彼独自のスタイルを確立しました。

この頃からニューヨークで数多くの個展を開きました。2年後、ギャラリーで3回連続で個展を開いたところ、反響が非常に好評で作品は完売、メトロポリタン美術館が彼の絵画を永久コレクションとして一点購入しました。

1951年にウォルト・ディズニー・スタジオへ背景画助手として入社します。その後10年ほどの間に、ピーター・パン、グーフィーの闘牛士、ポール・バニヤン巨人伝説、わんわん物語などの背景を描きました。

彼の絵は気に入られていたため、眠れる森の美女を制作する上での背景と色彩の全権を任され、ほとんどの背景を担当することとなりました。寡黙で無表情のまま仕事を黙々とこなすことで関係者の間では有名だったそうです。その才能を認められ、ディズニーランド内の人気アトラクションの一つである「シンデレラ城ミステリーツアー」を建造する際のコンセプトスケッチも担当しました。

約15年間アニメーションアートを制作した後は、油絵、水彩画、彫刻、デッサンに加えてシルクスクリーンの制作を始めます。 また本の挿絵なども描き、雑誌の表紙を数多くデザインしたり、テレビ向けのアニメコマーシャルや特別番組も制作するなど、その活動は多岐にわたります。その傍らでヨーロッパや日本など、世界各地で個展を開催しました。

1998年、国際アニメーション映画協会は生涯功績をたたえウィンザー・マッケイ賞を授与しました。2000年に食道癌により他界、84歳で生涯を終えるまで制作を続けました。

70年間にわたり絵を描いてきたアイベン・ロールですが、常に自然の驚異的な無限性に、そして永遠に圧倒されていると語っていました。そのスタイルは神秘的でありながらノスタルジックで、どこか憂鬱さも感じさせます。アイベン・ロールの感じていた自然に対する畏敬の念を作品から感じ取ることができます。

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※買取価格は制作年、作風、状態などにより相場が変動いたしますので、
掲載されている金額は、ある程度の目安としてご参考にしていただけますと幸いでございます。

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