追立久雄（おいたて ひさお）の作品を買取いたしました。丁寧な点描で、あたたかな雰囲気の中に鹿が描かれています。微細な点を多く使い作品を仕上げるため、制作には膨大な時間がかかります。近くで見ますと、本当に細かく描かれていることが分かります。点と点が重なり合うことにより、点描でしか描くことができない色と独特の雰囲気を醸し出していますね。

点描画の中でも群を抜いて微細な点で作品を描き切る『超細密点描画』を評価され、数々の賞を受賞しています。また、超細密点描画に留まることなく、更なる上を目指して日々研鑽をなさっているそうです。

奈良県在住の画家として、「世界に誇れる美しい奈良の風景」を伝えることをコンセプトとして制作を続けています。追立久雄の作品には、四季折々の美しい奈良の風景や鹿がよく描かれています。

以前、奈良のお客様宅へお伺いした際に、奈良公園の横を車で通過したことがありました。鹿たちは横断歩道を渡り、車は全て停車して鹿が通過するのを見守っていました。ほんのわずかな出来事でしたが、鹿と街が一体化して共存している光景を垣間見た気がいたしました。

奈良公園には多くの鹿がおり、国の天然記念物に指定されているため保護されています。保護はされていますが、奈良公園や奈良県で飼育をしているわけではなく、全て野生の鹿だそうです。

奈良公園の鹿の起源は、春日大社が創建された西暦768年まで遡ります。春日大社の主祭神として祀られている武甕槌命（たけみかづちのみこと）は、常陸国鹿島の神様です。春日大社創建の際に、茨城県にある鹿島神宮から白鹿に乗ってやってきたと伝えられています。

そのため、古くから春日大社を含む奈良公園では鹿を手厚く保護しており、鹿は神様の使いとして大切にされてきました。鹿を無暗に傷つけたり殺めたりすれば、刑罰を受けることもありました。

その昔『鹿を殺せば石子詰』という、鹿を殺した者は殺した鹿と一緒に生き埋めにされ、その上から石をたくさんのせられるという、想像しただけでも恐ろしい刑罰がありました。

興福寺の大御堂にいた三作という子供が習字の練習をしていたところ、やって来た鹿が半紙を食べてしまいました。鹿を追い払おうとして文鎮を投げたところ、命中して鹿は死んでしまいました。春日大社付近の菩提院には、文鎮で鹿を殺めてしまった子供が鹿の死骸と共に生き埋めにされたとされる墓もあり、かなり重い刑罰が課せられたことが見て取れますね。

神使とされ手厚く愛護されてきた奈良公園の鹿ですが、鹿愛護会によって頭数調査も行われています。奈良公園の鹿の動態を明らかにし、保護育成活動の基礎資料となる統計を作成することを目的に、毎年行われています。ちなみに2024年は、オス鹿313頭、メス鹿798頭、子鹿214頭、合計1,325頭の鹿が生息しているそうです。

大自然の中で暮らす鹿と比べますと奈良公園の鹿は安全な環境で生活をしているため、冬に命を落とす確率も低くなっています。北海道のエゾシカの平均寿命が6～8年であるのに対し、奈良のシカの平均寿命は12～20年と約2倍となり、多くの鹿が安全に生まれて自然死を迎えるそうです。

奈良公園の鹿の主な食べ物は、自生している植物です。春からは奈良公園や若草山のいたるところにある芝、秋には大好きなどんぐりが落ちてきて、冬季はスズメノカタビラなどを食べています。とても食欲旺盛のため、奈良公園では草刈りをする必要がないそうです。前回は奈良公園の横を通過するだけでしたので、久しぶりにゆっくりと訪れてみたいものです。

【追立久雄　主な受賞歴】

1948年　奈良県生まれ

ロートレック芸術大賞及び特別賞受賞

クリスチャン・ラングロア認定メダリスト

東大寺無限展オリエンタル・アート・アワード受賞

日本アートアカデミー賞受賞

ハプスブルク宮廷芸術会員 

その他、関西展、銀座大賞展、日本の自然を描く展、東京銀座絵画展、サムホール展、画廊企画展、グループ展、各入選多数

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※買取価格は制作年、作風、状態などにより相場が変動いたしますので、
掲載されている金額は、ある程度の目安としてご参考にしていただけますと幸いでございます。

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