稲垣考二は、精密な描写と幻想性を兼ね備えた作風に定評のある画家です。裸婦が多いので、こちらのような花の図柄は珍しいかもしれません。⁡ 優美に咲きほこる白牡丹は、眺めていると吸い込まれそうになります。状態も良かったため、こちらの査定額とさせていただきました。

1952年、名古屋に生まれた稲垣考二は、愛知県立芸術大学の島田章三教室に学び、1976年に同大学油画専攻を卒業後に大学院へと進みます。芸術大学在学時より絵画技術の評価は高く、早々とその力を認められてきました。国展に出品を重ね、国展新人賞、中部国画賞、日洋展で三越賞を受賞します。東京や名古屋を中心に個展を開催し、現在は国画会会員です。

稲垣考二が一貫して追求してきた主題は裸婦です。筆先の微細な動きが気の遠くなるほど繰り返された、徹底した細密描写で描かれた作品は、非現実的でありながら強烈な現実感を持って迫ってきます。髪の毛一本一本から布の繊維、皮膚の表面まで単なる細密描写ではなく、強固な意思を込めるかのように描き分けられているのか、そのようにすることで作品全体に生命を吹き込み存在感が強調されるのかもしれません。緊張感があふれ、妖艶で幻のように美しい色彩は見る人の心をとらえて離しません。

1952年　愛知県名古屋市生まれ
1976年　愛知県立芸術大学油画科　卒業
　　　　国展出品（以後毎年） 国展新人賞、中部国画賞受賞
1977年　国展で中部国画賞を受賞
　　　　中部読売美術展で中京テレビ賞を受賞
　　　　中部総合美術展で部門賞を受賞
1978年　中部読売美術展愛知県知事賞受賞
　　　　日洋展で三越賞を受賞
1979年　愛知県立芸術大学大学院研修科　修了
　　　　国画会会友に推挙される
　　　　第2回現代の裸婦展で大賞を受賞
1980年　太陽展に出品する（以後毎年）東京・名古屋・大阪・岐阜・伊勢・パリなどで個展30回
1981年　安井賞展に出品（以後83、85〜87、92、94年）
1982年　八月会展に出品（以後毎年）
1984年　国展にて会友優作賞を受賞
　　　　第1回伊藤廉記念賞を受賞
1985年　国画会会員に推挙
　　　　具象絵画ビエンナーレに出品（以後87、89年）
1986年　裸婦大賞展で優秀賞を受賞
1987年　第22回昭和会展で優秀賞を受賞
1993年　平成4年度名古屋市芸術奨励賞を受賞
　　　　名古屋コンテンポラリー・アート・フェアに出品（以後01年）
　　　　国際コンテンポラリー・アート・フェア（NICAF）に出品（横浜、以後97年・東京）
1993年　名古屋市芸術奨励賞受賞
1998年　21世紀の日本画を担う 現代の精鋭作家たち展に出品（松坂屋美術館／名古屋）
2000年　Asian Art Now 2000展に出品（以後01年）
2001年　第1回みちの会に出品（以後01年）
2017年　現代の写実展出品（東京都美術館）

現在　国画会会員

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