上村松園は気品漂う美人画により高い評価を得た日本画家です。「舞仕度」は、舞や能をモチーフにした作品のなかで初期の作品となります。舞の支度をする場面が描かれていますが、女性の舞いはじめる直前の緊張と恥じらいの一瞬を見事にとらえています。着ている振袖の菊の模様などからして初秋の雰囲気を感じます。松園は京都人であったからことからも、日頃から舞に親しんでいたようで、能なども取材して作品も多く手がけています。生きたモデルを使うことはあまりなかったそうですが、こちらの作品の制作にあたり祇園に通ってスケッチしたといわれています。

1875年に京都市下京区の葉茶屋の次女として生まれます。京都府画学校（現・京都市立芸術大学）の教授であった円山派の画家・鈴木松年に師事。その後、幸野楳嶺や竹内栖鳳に師事します。1890年、松園15歳のとき、第3回内国勧業博覧会に『四季美人図』を出品し一等褒状受賞、英国の王族の買い上げとなり評判となります。京風俗や古典文学に想を得た作品を次々と発表し、画家として頭角を現していきます。1900年、第9回日本絵画協会・第4回日本美術院連合絵画共進会に出品した《花ざかり》が、横山大観、菱田春草らと並んで銀牌を受賞します。1907年より文展に出品し、第10回展から永久無鑑査となります。時代が明治から大正に移り変わる頃から、《花がたみ》（1915）《焔》（1918）など、謡曲を題材にした作品が増えていきます。パリ万国博覧会では『母子』、文展で『長夜』、『月かげ』などで数々の受賞をかさねます。1936年、新文展招待展に代表作《序の舞》（1936）を出品、政府買い上げとなりました。1948年には女性初の文化勲章を受章。四条派の技法に近代感覚をとり入れた優雅な作風で、昭和期には簡潔で美しい線や無駄の無い造形、明るく抑えられた色彩などに特色を見せながら、内面的な深みを加え、高い気品を備えた女性像を確立させました。半世紀以上にわたる画業のなかで、目まぐるしく変わりゆく世相にも左右されず、理想の女性像を描くことにひたすら邁進し、気品あふれる美人画を描き続けました。息子は日本画家の上村松篁です。

1875年　京都市下京区四条通御幸町の葉茶屋「ちきり屋」の次女として生まれる
1887年　京都府画学校（現：京都市立芸術大学）に入学、北宋担当の鈴木松年に師事
1888年　雅号として「松園」を用いる、鈴木松年の辞職により京都府画学校を退学し松年塾に入る
1890年　第3回内国勧業博覧会に「四季美人図」を出品、一等褒状受賞（来日中のヴィクトリア女王の三男アーサー王子が購入し話題となる）
1893年　幸野楳嶺に師事、隣家からの類焼のため中京区高倉蛸薬師に転居、市村水香に漢学を学び始める、
1895年　楳嶺の死去にともない、竹内栖鳳に師事
1900年　日本絵画協会・日本美術院連合絵画共進会で《花かざり》が銀牌となる
1902年　長男・信太郎（松篁）誕生
1903年　葉茶屋を廃業し、中京区車屋町御池に転居
1910年　第10回巽画会の審査員となる
1914年　間之町竹屋町に画室を竣工、初世金剛巌に謡曲を習い始める
1934年　2月、母 仲子死去
1941年　帝国芸術院会員となる、10月、三谷十糸子と中国に旅行
1944年　帝室技芸員
1945年　奈良県生駒郡平城の松篁の画室である唳禽荘（れいきんそう）に疎開する
1948年　女性として初の文化勲章を受章
1949年　8月27日、肺癌により死去、従四位に叙される、享年74

【上村松園の鑑定機関について】

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真作（本物）である場合、その証明として鑑定証書が発行されます。贋作という結果でも鑑定料等の実費は支払わなければなりません。お客様が所定鑑定機関に鑑定依頼を出す前に、お持ちのお作品を鑑定に出した方がよいのかどうか？という視点から、真贋判断の可能性や評価などについて、無料でアドバイスさせていただきます。鑑定書取得の代行も行っておりますので、まずはお気軽にご相談くださいませ。

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