買取実績

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今野忠一「鳥海残雪」

日本画

今野忠一
「鳥海残雪」

買取地区:
春日井市
買取方法:
出張買取

買取価格¥60,000

今野忠一は、山形県天童市出身の昭和時代から平成時代に活躍した日本画家です。
はじめは南画家 後藤松亭に入門して「松石」と号していましたが、同じ山形出身の日本画家 高嶋祥光を頼って上京、児玉希望の門人として号「欣泉」を用いて写実的な風景画を学びました。彫刻家 新海竹蔵と出会い郷倉千靱の草樹社に入塾し、「忠一」と号すようになり花鳥画に取り組みました。

今野忠一が活躍した時代は戦後の日本画改革期と重なり、画壇がそれまでの水墨画から脱皮し、日本画の形状が大型化、厚塗り、西洋絵画表現の導入が行われた時代でもありました。この変動期の日本画の世界で、暗色を取り入れながら陰影法や遠近法はなるべく排し、日本画の要素を失わないギリギリの表現を確立しました。
院展で活躍を続けて数々の賞を受賞、画風も花鳥画から風景画へと変化していき、主に山岳風景を題材にした写実と心象が深く融合する画境を展開するようになります。故郷の蔵王や月山をはじめ、山岳風景や樹木、巨木をモチーフに緻密な描写によって全体的に分厚く塗ることにより自然の力強さを表現し、冬を描いた作品では過酷さが伝わり生命力溢れる作品を数多く残しました。

今野忠一は山岳風景画家というジャンルを切り開き、日本の名山を描き続けました。
今回買取をさせていただいた作品に描かれている鳥海山は、山形県と秋田県にまたがる火山で、山頂部は山形県に属しています。最高地点は標高2236mの新山です。有史以降も噴火を繰り返しており、気象庁の常時観測対象に指定されています。
最晩年は実景から入った心象風景を多く描き、心の名山を表現していきます。

また、愛知県立芸術大学で教授、東北芸術工科大学の名誉教授をつとめ、今野忠一の画塾では多くの日本画家が輩出されるなど後進の指導にも力を注いていました。
『中央公論』の表紙絵や、三島由紀夫の『金閣寺』の装幀など、日本画壇の重鎮として第一線で活躍し続けた画家でした。
 

 

1915年 山形県東村山郡干布村(現、天童市上荻野戸)に生まれる。本名忠市。
1933年 児玉希望塾に入塾する
1940年 同郷の彫刻家、新海竹蔵を介して郷倉千靱の草樹社に入塾、第27回院展で初出品・初入選となる
1965年 跡見学園短期大学講師をつとめる
1970年 山形美術博物館で「今野忠一画業展」開催
1978年 88年まで愛知県立芸術大学日本画科主任教授を務める
1975年 紺綬褒章受章、日本美術院評議員、天童市名誉市民
1988年 日本美術院理事に選任
1992年 日本美術院評議員理事、東北芸術工科大学日本画科主任教授となる
2006年 4月15日、脳梗塞のためさいたま市の病院で死去した、享年91

 

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※買取価格は制作年、作風、状態などにより相場が変動いたしますので、掲載されている金額は、ある程度の目安としてご参考にしていただけますと幸いでございます。

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