先日は、掛軸を数多くお持ち込みいただきました。とにかく家の中にある掛軸を集めてお持ちいただいたとのことで、その数は50本ほど。一点ずつ広げながら、作者や内容、状態などを確認し、査定をさせていただきました。
その中で、個人的にとても可愛らしく、目に留まった掛軸がございましたのでご紹介いたします。
作者は、高嵩谷(こう すうこく/1730-1804)です。江戸時代中期から後期に活躍した絵師で、英一蝶の門人であった佐脇嵩之に学び、英派の絵師として風俗画や武者絵などを手がけました。浅草寺の「源三位頼政鵺退治図」でも知られています。
今回の掛軸に描かれているのは、岩場に置かれた釣竿と、釣り上げたばかりのような鯛。鯛と釣竿といえば、七福神の一人である恵比寿様を思わせる取り合わせです。実際に、恵比寿様は鯛や釣竿とともに描かれることが多く、古くからさまざまな作品の題材となってきました。

ところが、この絵には肝心の恵比寿様の姿がありません。鯛を釣り上げ、釣竿までその場に置いて、いったいどこへ行ってしまったのでしょうか。そんなことを考えながら眺めていると、思わず笑ってしまいます。
人物そのものを描かず、鯛と釣竿だけを残したところも面白く、今回拝見したたくさんの掛軸の中でも、個人的にとても好きな一幅でした。
高嵩谷の作品は、制作された時期や図柄、描き込みの程度、作品の状態などによって、査定額にも幅がございます。
今回の掛軸は、残念ながら虫食いや折れなどがあり、状態はあまり良くありませんでしたが、図柄がなんとも面白く、個人的にとても気に入った一幅でした。きれいに修復して、弊社のコレクションとして残しておこうかと考えております。
掛軸は、作者や時代だけでなく、こうした図柄の面白さや、眺めていて楽しいと感じるものに出会えることも魅力のひとつです。この度は、誠にありがとうございました。

北岡技芳堂では、掛軸をはじめ、絵画、茶道具、陶磁器、工芸品など、さまざまな美術品・骨董品の査定・買取を承っております。
掛軸が数十本、数百本とまとまっている場合にも、一点ずつ内容を確認しながら査定いたします。また、染みや虫食い、折れなどがある掛軸でも、作者や内容によってはお買取できる場合がございますので、ご処分される前に一度ご相談ください。掛軸の染み抜きや仕立て直しなど、表装・修復のご相談も承っております。
掛軸の買取につきましては、よろしければこちらもご覧ください。
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