澤田政廣の木彫「不動明王」を買取いたしました。日本では、お不動さんと呼ばれて親しまれていますね。日本では、空海や最澄が中国に渡り、密教が伝来した平安時代以降に制作されるようになりました。

右手に剣を、左手に羂索という縄を持っています。これは、様々な欲望に惑わされる人々の迷いを剣で断ち切り、欲の海に溺れる人々をロープで引き上げてくれるためのものです。

燃えさかる炎を背負い、とても怖い顔をしていますね。明王は、本来如来でありました。しかし、優しい顔をして説法をしても耳を傾けなかったり、説法の内容を守らない人がいました。そのような人々のために、あえて忿怒の表情をしているそうですので、このお顔は慈悲の怒りの表れということなのでしょうか。

明王とは 「知恵と呪文の王者」という意味です。密教では、大日如来が宇宙の中心的な存在と考えられました。明王はその大日如来の化身で、怒りの表情や威嚇するような姿を示すことで、より強く仏教の信仰をうながす役割も果たしています。

澤田政廣（さわだ せいこう）は、1894年に静岡県熱海市に、父・小兵衛と母・とくの三男として生まれました。生家は製材業を営んでいました。

1913年に中学を中退して画家を志しますが、両親に反対されてしまいます。翌年、遠縁にあたる木彫家・山本瑞雲をたよって上京し、内弟子となりました。山本瑞雲は、高村光雲の高弟にあたる人物です。

1918年、太平洋画会研究所に入り彫刻を学び、第3回帝展に出品した作品が初入選します。

1924年に東京美術学校彫刻別科に入学し、朝倉文夫に師事します。卒業後も受賞を重ねました。

その後も芸能選奨文部大臣賞、日本芸術院賞などを受賞し、1962年には日展理事、日本芸術院会員となります。また、文化功労者として顕彰され、文化勲章を受章しています。

ブロンズ彫刻隆盛期に、木彫による新方向を示して注目され、仏像や古代神話に基づいた神像、人物像を数多く制作しました。巨大な一本の木から、ノミ跡を残して彫り出す技法を多く用い、大らかで浪漫的な作風を確立しました。

93歳で亡くなるまで多くの木彫作品をはじめ、絵画、陶芸、版画、書など、幅広い創作活動をしました。力強く生命感と詩情にあふれた作品は、人々の胸に訴えかけるものがあるのかもしれません。

北岡技芳堂では澤田政廣をはじめ、様々な木彫作品の買取、販売を行っております。ご不明な点などございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。

【略歴】
1894年8月22日
静岡県熱海町に生まれる
本名は澤田寅吉
幼年期の実家は「亀屋」の屋号で廻船業、少年期の家業は 製材業を営む

1913年
19歳旧制韮山中学校を中退
山本瑞雲に師事する

1921年
27歳の時、第3回帝展に「人魚」初入選
本名の寅吉で出品

1924年
第5回帝展「銀河の夢」特選
東京美術学校彫刻別科入学

1926年
第7回帝展「影」出品
東京美術学校彫刻別科卒業

1937年
43歳、世田谷区玉川田園調布に居をかまえる

1940年
46歳、日本木彫会を脱退し「正統木彫家協会」 を結成する

1956年
62歳、第12回日展に「黄泉のしこめ」を出品
この年から号を「政廣」とする

1962年
68歳、日本芸術院会員となる

1983年
89歳、新潟県糸魚川市に「谷村美術館・澤田政廣作品展示館」開館

1987年
93歳「熱海市立澤田政廣記念館」開館

1988年
5月1日、急性肺炎にて死去
享年93歳

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※買取価格は制作年、作風、状態などにより相場が変動いたしますので、
掲載されている金額は、ある程度の目安としてご参考にしていただけますと幸いでございます。

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