五味悌四郎は、大正から平成にかけて活躍した洋画家です。五味悌四郎といえば、やはり写実性に富んだ静物画ではないでしょうか。特に備前の花入に椿が生けてある図柄の作品が市場には多くで出回っておりますので、ご覧になったことのある方もいらっしゃるかと思います。今回はご自宅のご整理のために、数点作品をお譲りいただきました。誠にありがとうございました。

五味悌四郎は1918年、東京都台東区生まれ、川端画学校を経て東京藝術大学に入学します。幼少の頃より絵画に魅せられており、様々な作品を見ては洋画を研究し続けて行きます。1945年の第１回日展から出品し、1947年からは一水会でも出品をはじめました。

日本における静止画の巨匠とも言われ、シュールレアリスムを思わせる写実的な筆遣いに、陰影を巧みに使う画風が特徴です。シュールレアリスムは、フランスの詩人・文学者として名高いアンドレ・ブルトンが提唱し、現実の奥にある「超現実」を追い求める思想活動です。超現実主義は、まるで夢の中に迷い込んだような感覚を味わえる芸術ですね。20世紀の芸術界を代表する運動であり、超現実の表現により真の自由の獲得を目指したことで知られます。代表的な画家は、ルネ・マグリットやサルバドール・ダリ、ジョルジョ・デ・キリコ、パブロ・ピカソらがいます。
五味悌四郎はより洋画の研鑽をしていくために1964年に渡欧、グランショミエールに在籍していたとき、本場のシュールレアリスムをつかんだといわれています。洋画の研究を続け、その独特な世界観は日本の洋画界に革命をもたらすほどの大きな功績を上げ、ボザール展入選、ル・サロン展での受賞や一水会優賞につながりました。その後も一水会を中心に作品を発表し、1984年には一水会委員に推挙されましたが、より自由な制作を求めて1986年に退会、無所属にて活動を開始します。
静止画においては、その研ぎすまされた写実力を発揮し、日本におけるシュールレアリスムの最高峰とも言える作品を生み出し続けました。

1918年　東京都台東区生まれ
1945年　日展出品
1947年　一水会展出品
1964年　渡欧する、パリ・グランショミエ―ルに学ぶ
1965年　ボザール展入選、ル･サロン展　銀賞・銅賞受賞、帰国
1968年　一水会優賞、東京フジヰ画廊、村越画廊にて個展
1970年　フランス　アンデパンダン展出品
1984年　一水会委員に推挙
1986年　一水会退会、無所属となる
1998年　日展特選
2004年　死去、享年86歳

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※買取価格は制作年、作風、状態などにより相場が変動いたしますので、
掲載されている金額は、ある程度の目安としてご参考にしていただけますと幸いでございます。

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