買取実績
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絵画
南桂子
「海」銅版画
- 買取地区:
- 東海市
- 買取方法:
- 店頭買取
参考価格¥30,000
銅版画家・南桂子の「海」を買取いたしました。1955年作の銅版画です。やさしい色合いと画風ですので、ついついぼーっと眺めてしまいます。
私事ですが、海の見える町に生まれ育ちました。海は近くにある存在で、嬉しい日も悲しい日も、いつも海を眺めていました。久しぶりに、そんなことを思い出しました。
南桂子は、1911年に富山県射水郡の地主の家に生まれました。夫は、さくらんぼの作品などが有名な版画家・浜口陽三です。
母親は桂子が幼い頃に亡くなったため顔も知らず、継母に育てられました。12歳の時には父親も急死、早くに両親を亡くしたことから、高岡市で親族によって育てられました。
1928年に富山県立高岡高等女学校を卒業しました。在学中から絵画制作に興味を持ち、詩作を試みたり、小説家・壺井栄に師事し童話を学ぶなど、多方面の創作活動を行っていました。
太平洋戦争後の1945年、34歳の時に上京します。小説家・佐多稲子の紹介で作家の壺井栄に童話を、洋画家の森芳雄に油絵を学びました。
1949年には第13回自由美術展に油彩画「抒情詩」を出品し、森芳雄のアトリエで後に夫となる浜口陽三と出会います。
1954年にフランス・パリへ渡ると、陽三と暮らしました。桂子が銅版画の世界に入ったのは40歳を過ぎた頃で、フリードランデル版画研究所でアクアチントを学び、以後、版画の制作活動の場を国際的に広げました。
1955年には自由美術家協会会員に推され、1956年には「風景」がフランス文部省買い上げとなります。1961年から1981年までは、パリの画廊と専属契約を交わしていました。
1981年にはパリからアメリカ合衆国のサンフランシスコに移り、1984年には日本版画協会名誉会員に推挙されます。
1996年に日本に帰国します。2000年に陽三が死去。桂子は4年後の2004年に心筋梗塞により東京都内港区の病院で93歳で亡くなりました。
少女・鳥・樹木などをモチーフとした、叙情的で繊細な銅版詩を描く作家として知られ、童話のような作品は、現在でも世界中の人々に愛されています。