買取実績

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大沢昌助「横たわる女」エッチング

版画

大沢昌助
「横たわる女」エッチング

買取地区:
名古屋市内
買取方法:
店頭買取

買取価格¥5,000

明快な色調の抽象画で知られた、大沢昌助のエッチングの作品を買取いたしました。戦前、戦後の社会背景を見据えつつ、ブレることのない独自のスタイルを貫いた昭和を象徴する美術家です。モダン、シンプル、自由そして軽やか、そんな言葉がぴったりの作品です。

大沢昌助は1903年9月24日、東京三田綱町に大沢三之助、みよ子の三人兄弟(兄と弟は後に建築家となる)の二男として生まれました。父・三之助は、明治時代に文部省の依頼で4年間のイギリス留学を経て芸大に建築学科を 創設し、主任教授となった人物です。三之助の妹いと子は福沢諭吉の長男一太郎に嫁ぎました。

幼いころから三之助に水彩の手ほどきを受け、父の蔵書によって西欧美術に触れる機会を得ていました。また父と交流のあった富本憲吉、バーナード・リーチ、高村光太郎らを幼少から知るなど、美術に親しむ環境の中で育ちました。別荘は房総にあり、鴨川には友人もいたためによく訪れ、初期作品は房総の海を描きました。

1923年に東京美術学校(現・東京芸術大学)西洋画科に入学します。長原孝太郎、小林万吾にデッサンを学び、3年次に藤島武二教室に入ります。一級上に猪熊弦一郎、山口長男、荻須高徳、岡田謙三、牛島憲之、小磯良平、一級下に吉井淳二、久保守らがいました。 1928年25歳で東京美術学校西洋画科を首席で卒業します。 1932年29歳の時、世田谷区玉川奥沢町にアトリエを建て転居、同年に国立音楽学校の一期生でピアニストの北村季美子と結婚しました。

戦後は二科展の再建に会員として参加し、同展に出品を続けます。その他に、日本国際美術展、現代日本美術展、国際形象展などに出品をします。1961年58歳の時に戦後初の個展を兜屋画廊で開催するも、全部抽象画でサイズも30号と大きかったため、1点も売れませんでした。こちらのシリーズは、30年後に練馬区立美術館が買い上げました。

1954年から1970年まで多摩美術大学教授を務め、1981年、池田二十世紀美術館で「大沢昌助の世界」展を開催します。1982年に二科会を退会後は、個展を中心に作品を発表しました。現代日本美術展、サロン・ド・メ、国際形象展、サンパウロ・ビエンナーレなど国際展にも数多く出品し、油彩のほか版画にも精力的に取り組みました。

壁画も多く手がけており、1991年に東京都議会議事堂ロビーに村井正誠「飛ぶ二人」の作品 とともに、大沢昌助「くろいいし」が完成し、無機質な空間に知性とユーモアを与えています。

戦前は人物を主要なモチーフとし堅実な写実を基本とする作品を描いていましたが、1955年頃から対象の形態、色彩を簡略化してとらえ画面上で再構成する抽象的な作風に移行します。1965年頃には簡潔な線、明快な色面、大胆な構図による斬新な作品を描き、具象から出発した自己の画業を見事に抽象へと昇華させていきました。

深刻ぶらず、絵のうまさを表に出さないさらっとした画面構成、80年代以降に特徴的な明るい色彩となり、80歳を過ぎてソフトライン、水平線シリーズなど簡潔で色彩豊かな独自の抽象絵画を確立しました。

晩年、資料室の場所が千葉県いすみ市岬町に決まってからはよく訪れ、 多くの作品が残されました。作品は風景・人物・抽象、どれも簡潔で大胆な構図、豊かな色彩、 洗練された都会的センスに溢れています。天衣無縫の線に作家自身が驚き、喜んでいるようで、作品からは澄み切った清々しい空気が流れてきます。常に独自の表現を模索し、名声を求めず進化し続けた姿勢は、多くの作家や人々から今も敬愛されています。

 

【略歴】

1903年 東京三田綱町に生まれる

1923年(20歳)東京美術学校(現・東京芸術大学)西洋画科に入学

1928年(25歳) 東京美術学校西洋画科を首席で卒業

1932年(29歳) 世田谷区玉川奥沢町にアトリエを建て転居、国立音楽学校の一期生でピアニストの北村季美子と結婚

1933年(30歳) 大沢昌助油絵個展(日動画廊)開催、福沢一郎から励ましをうける

1939年(36歳) この年から児童雑誌『コドモノクニ』に童画を掲載

1942年(39歳) 二科賞受賞

1943年(40歳) 二科会会員に推挙される

1945年(42歳) 4月頃、強制疎開を受け福沢方に転居、8月父・三之助死去、二科会再建に会員として参加する

1946年(43歳) 武井武雄、初山滋らによる日本童画会の創立に参加

1954年(51歳) 多摩美術大学教授となる(1970年まで)

1961年(58歳) 兜屋画廊で戦後初個展

1965年(62歳) 第4回国際形象展で愛知県美術館賞を受賞、多摩美術大学正面玄関にモザイク壁画を制作、第8回サンパウロ・ビエンナーレ展に出品

1973年(70歳) 大沢昌助・村井正誠・山口長男展(夢土画廊)

1975年(72歳) 麻生三郎・大沢昌助・柳原義達・山口長男展(ギャラリーセゾン)

1978年(75歳) 大沢昌助・堀文子・建畠覚造展(神奈川県民ギャラリー)開催

1981年(78歳) 大沢昌助の世界展(池田二十世紀美術館)開催

1982年(79歳) 二科会を退会

1984年(81歳) 大沢昌助個展(銀座アートセンターホール)開催、「隠喩(赤)」「隠喩(青)」

1991年(88歳) 大沢昌助展(銀座、和光ホール)開催、変身と変貌 大沢昌助展(練馬区立美術館)開催、東京都新都庁舎都議会本会議場前ロビーの大理石に壁面デザイン

1995年(92歳) 第4回中村彝賞受賞

1996年(93歳)妻、季美子死去

1997年(93歳)5月15日午前9時、「大沢昌助新作展」会期に急性心筋梗塞のため自宅で死去、9月、追悼 大沢昌助展(練馬区立美術館)

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※買取価格は制作年、作風、状態などにより相場が変動いたしますので、
掲載されている金額は、ある程度の目安としてご参考にしていただけますと幸いでございます。

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