買取実績
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掛軸
田近竹邨
南画
- 買取地区:
- 春日井市
- 買取方法:
- 出張買取
買取価格¥30,000
田近竹邨の掛軸を買取いたしました。池田桂仙、山田介堂とともに京都南画界の三元老と称され、新派興隆の明治期において新しい南画の可能性を模索し続けた画家です。
田近竹邨(本名岩彦)は、1864年(元治元年)に、国学者・田近陽一郎の次男として生まれました。田近竹邨の生まれた大分県竹田市は、南画の最高峰・田能村竹田(1777-1835)の生誕地でもあり、多くの南画家を輩出してきました。竹田にはじまる豊後南宋画の流れは、明治に入り京都において、帆足杏雨・田能村直入・田近竹邨へと続きました。
幕末期勤皇の志士だった父から薫陶を受け、幼いころから画才に優れていた竹邨は、淵野桂僊について南画を学びます。京都画学校に入学した後は、日本画家の大家とも言われている田能村竹田を尊敬し、田能村直入に師事します。
明治14年に田能村直入、幸野楳嶺により京都府画学校が設立され、直入自ら校長となりました。
南画は、江戸後期から全国的な流行をみせましたが、明治中頃になると急速に衰えていきます。要因としては、南画理解に不可欠な漢詩の素養が時代とともに一般的になくなってきたことや、絵画鑑賞が床の間から展覧会へと移行したことなどがあげられます。このような背景も踏まえて当時のことを考えるということはとても興味深いですね。
しかし、もっとも大きな影響を与えたのは、明治20年代に起こった岡倉天心やフェノロサが唱えた国粋主義による南画への圧迫だったかもしれません。旧態依然とした南画は「つくねいも山水」と揶揄され、新しい日本画運動の波に飲まれていきました。
明治29年、衰退する南画を復興させようと、東京で児玉果亭、野口小蘋、小室翠雲、松林桂月により日本南画会が、京都では田能村直入や富岡鉄斎らが日本南画協会を結成して南画家の奮起をはかろうとしましたが、ほとんどは新時代に即した南画を創り出すことはできませんでした。日本南画協会は明治34年の第8回を最後に有名無実の存在となりましたが、その後を継いだのが田近竹邨でした。
明治40年に始まった文展は、横山大観らの「新しい日本画」を目指す新派と、南画などの旧派が対立しており、新派の勢力が強く旧派は押され気味でした。そのような状況下で旧派に属する竹邨は、第2回、第3回文展で連続して三等賞を受賞します。さらに5、6、7、8回展でも褒状を受け、衰弱しつつあった南画界の中で活躍し、高い評価を受けています。明治41年文展三等賞受賞、以降大正3年まで毎年同展で入賞を続け、京都南画壇での地位を確固たるものとし、日本における南画の発展に貢献を続けました。
当時、京都南画界の重鎮として活躍していた竹邨は、大正10年に三井飯山、河野秋邨、小室翠雲、池田桂仙、水田竹圃、矢野橋村、山田介堂らと最初の日本南画院を京都に創立し、中心的役割を果たし後進の育成に努めます。一門には、河野秋邨、後藤秋涯、濱晶雲、平野古桑、横山春溪、衛藤晴郎、井上石邨などがいます。全国の南画家が結集し、発表と研究の場を持つことができました。
京都、大阪、東京の南画界の再結束を目指しましたが、結成翌年の大正11年、竹邨は58歳で死去しました。
明治、大正期において、南画家壇の発展に尽力した田近竹邨が目指したものは、時風に合った奇抜な創出ではなく、古法に学んだ穏健な革新でした。師の田能村直入はもとより、田能村竹田や帆足杏雨ら、郷土の先人たちの画法を近代日本画の画面に活かすことで、新しい南画の可能性を模索しました。竹邨の描画における柔らかい線は、大正描きと称されて高い評価を得ており、中国山水画の流れが垣間見える美しい繊細なタッチで描かれています。新派に押され気味であった美術界のなかで、文人画家としての存在を示し続けました。
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掲載されている金額は、ある程度の目安としてご参考にしていただけますと幸いでございます。
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