買取実績

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富田渓仙「麒麟」

掛軸

富田渓仙
「麒麟」

買取地区:
名古屋市内
買取方法:
出張買取

買取価格¥25,000

明治12年に福岡県博多に生まれた冨田渓仙は、明治から昭和初期に活躍した日本画家です。別号に雪仙、渓山人ともいわれています。型にはまらない自在な筆の動きや、豊かな色づかいの個性的な表現が特徴的ですね。

冨田渓仙は12歳の頃から絵を習い始めました。13歳の時、元福岡藩の絵師衣笠探谷に就き狩野派を学びます。はじめに教わっていたのは、伝統にならってお手本を写す方法です。絵を描く技術を身につけることはできましたが、もっと自由に描きたいと思った渓仙は、1896年に18歳で上洛しました。翌年四条派の都路華香に師事し、その頃の画家の多くが取り組んでいた見たままを写しとる描き方を学びますが、これもまた物足りなくなっていきます。また仙厓義梵、富岡鉄斎に傾倒し、観念的な画題主義から自由闊達な独自の画風を確立していきます。自分の表現を探り続ける中で、奈良・平安時代の仏教美術や、中国の伝統的な絵画の流れをくむ南画を研究したり、キリスト教や老子について勉強するなど自分の内面を成長させる努力をしたりしました。

1899年、前期日本美術院第2回展に「鯉」を出品、大正元年秋文展第6回に「鵜舟」、更に翌年の第7回展に「沈竃容膝」を出品し、横山大観等の認むるところとなり、1914年に日本美術院再興 院友に推薦され、翌年37歳で同人に挙げられました。1914年といいますと、富田渓仙は清水寺内の泰産寺に北大路魯山人と一緒に住んでいました。魯山人の絵付けなどを見ていると、渓仙の影響を受けたのではないかと考えてしまいます。お互いに高め合いながらもその後二人は決別し、自分より先に亡くなってしまった渓仙のお葬式に魯山人は参列しなかったそうです。真相は本人たちにしかわからないことですが、魯山人はどのような思いだったのでしょうね。

再興院展には第1回に「鼎峠行人」を出品、以後連年、四条派の筆技に発し独自の工夫を凝した清新な画風をもって画壇に特異なる存在を示しました。1930年、同展第17回に「雲ケ畑の鹿」を出品してその画境に一線を画し、1933年の同展第20回に名作「御室の桜」を出品して好評を博します。同10年6月帝国美術院改組と共に会員に挙げられ第1回の帝展に「万葉春秋」を出品しましたが、同11年6月に横山大観等と共に帝国美術院会員の辞表を提出しました。

冨田渓仙は様々な人々との交流をしていました。美術コレクターの内貴清兵衞と芸術について話し合い、作品についてアドバイスをもらったり、表現に対する考えを深めていきました。駐日フランス大使であった詩人のポール・クローデルや、俳人河東碧梧桐との交流も知られていますね。趣味も広く俳諧や和歌に親しみ、1931年頃より浪漫詩を創作します。また読書を愛し、好んで経書を読んだりしながら仏典に親しみ、晩年は本朝の古文学に沈溺したといわれています。表現を追求するために重要だったことに、台湾や中国への旅行もあげられます。日本国内では北海道や紀伊半島、沖縄なども訪れています。旅をしながらたくさんスケッチを描いていますが、それだけではなく旅先で自分を見つめ直す機会にしていたようです。旅行をまとめた画帖には、旅先の風景や出会った人々が生き生きとした墨の線で描き出されました。渓仙の特色は、自然の外観にこだわらずに自由に形を変え、大胆に省略する奔放な表現ときらびやかで美しい色彩ではないでしょうか。今回買取させていただいた「麒麟」は色紙サイズと少々小ぶりながらも、冨田渓仙の良さがギュッと詰め込まれた作品です。

 

1879年 12月9日福岡県博多生まれ
1891年 元福岡藩の絵師衣笠探谷に就きて狩野派を学ぶ
1896年 上洛、伏見桃山に住す、頓奥園主人、燕巣楼、渓仙の号あり
1897年 都路華香の門に入り四条派を学ぶ
1899年 前期日本美術院第2回展「鯉」「鷲」
1900年 京都美術協会主催新古美術品展「隠者」1等褒状
1901年 日本美術協会展「春郊牧童」1等褒状
1903年 第5回内国勧業博「神功皇后釣鮎図」褒状
1909年 2月台湾より南支旅行、8月帰洛、博多聖福寺に「龍」の天井画を描く
1914年 再興日本美術院第1回「鼎峠行人」、日本美術院々友に推挙、大和達摩寺の襖絵揮毫
1915年 院展第2回「宇治川の巻」、日本美術院同人に推挙さる
1922年 この頃より渓山人の落款、仏国大使ポール・クローデルと詩画集「皇城十二景」を合作
1924年 博多の櫛田神社へ「騏麟鳳凰屏風」を献納、博多虚白院の仙厓堂再興にかかる、11月土井撰美堂にて西村五雲との合同展開催
1926年 この夏頃の作より専ら渓山人の落款を用いる
1927年 ポール、クローデルとの合作詩画集「四風帖」「雉橋集」、仏国ルクサンブール美術館に「神庫」を寄贈
1929年 仙厓堂再興成る
1931年 ドイツ展「幽谷の鹿」、浪漫詩を作る
1933年 院展第20回「御室の桜」朝香官御買上
1935年 3月随筆集「無用の用」出版、6月帝国美術院会員に挙げらる。
1936年 新帝展「万葉春秋」6月帝院会員の辞表を提出、7月7日京都嵯峨の自宅で突然脳溢血のため逝去、享年58

 

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※買取価格は制作年、作風、状態などにより相場が変動いたしますので、
掲載されている金額は、ある程度の目安としてご参考にしていただけますと幸いでございます。

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